米スタートアップのRadify Metalsが、プラズマを使った金属精錬技術で、中国依存の強いレアアース供給網の再編に挑んでいる。レアアース酸化物から酸素を取り除き、純金属へ転換する精錬工程の内製化が狙いだ。
米TechCrunchが9日(現地時間)に報じたところによると、同社はネオジムとジスプロシウムを対象とするプラズマ反応炉を開発している。レアアース市場自体は大きくないが、磁石やモーター、電子機器に欠かせず、地政学上の重要性も高い。
米国では鉱山の再稼働や製造基盤の拡充が進む一方、精錬工程では依然として中国への依存が大きい。Radify Metalsは、この精錬分野を供給網の空白領域とみて技術開発を進めてきた。
従来の精錬では、熱処理や化学プロセスで酸素を除去する手法が一般的だが、環境負荷が大きい。これに対し同社の方式は、超高温のプラズマ化した水素で酸素を分離する。副生成物が水蒸気のみで済む点が特徴という。
工程自体は比較的シンプルだ。反応炉内で水素をプラズマ化し、金属酸化物の粉末を投入すると還元反応が起き、純金属を取り出せる仕組みとなっている。
同一設備で金属ごとに運転条件を調整できるため、生産の柔軟性も高い。Radify Metalsは、電力電子の効率向上と粉体処理技術によって、従来のプラズマ精錬が抱えていた高コスト構造を抑えたと説明している。
同社は、この技術が設備の小型化にも向くとみている。大型集中型の生産体制に依存せず、小型反応炉で生産できれば、コスト低減に加え、市況変動への対応力も高まるという。
例えば、特定のレアアース価格が急落した場合でも、チタンやジルコニウムなど別の金属へ比較的迅速に切り替えられるとしている。
現在は米カリフォルニア州キャンベルの研究拠点で、小規模チームが開発を進めている。年内には1日当たり数kgの純金属生産を目指し、その後は日産100kg規模のパイロット設備の構築を計画している。
資金面では、Overture、Founders、Mana Venturesなどから累計約300万ドルを調達した。
事業化の成否は、中国勢との価格差をどこまで縮められるかにかかる。足元では、中国以外の地域で供給されるレアアースの価格は、中国品の数倍に達するとされる。
同社は当初、中国比で約50%高い水準での生産になる見通しだが、長期的には中国並み、もしくはそれ以下までコストを引き下げることを目標に据える。
今後はレアアースにとどまらず、ハフニウム、スカンジウム、チタンへと適用範囲を広げる方針だ。一方で、鉄やアルミニウムのような大量消費金属では、既存工程を置き換えるだけの効率にはまだ達していないとしている。
パイロット規模でも性能を維持できれば、中国中心のレアアース精錬構造を揺さぶる技術になる可能性がある。