7年以上動きのなかったビットコインの大口保有者が最近、2億7100万ドル(約407億円)相当のビットコインを売却したことが分かった。ただ、市場では1月時点と比べて買い需要が強まっており、今回の売却がそのまま急落につながる可能性は小さいとの見方が出ている。
ブロックチェーン専門メディアのCointelegraphが9日(現地時間)に報じた。こうした動きは先週日曜日に確認されたという。
Capriole Investmentsのオンチェーンデータによると、ビットコインの「OGクジラ消費価値」は同日、約2億7100万ドルに達した。これは1月10日以降で最大規模。当時は2億8000万ドル(約420億円)規模の流出拡大の後、ビットコイン価格が2週間で9万ドルから7万8700ドルへと13%下落した。
一方、今回は当時とは需給環境が異なるとの指摘もある。大口保有者の移動は投資家心理を冷やす要因になり得るが、過去の事例をみると、無秩序な投げ売りというよりは、抑制的な利益確定に近い動きだったという。大量売却が短期的に相場を揺らす可能性はあるものの、パニック売りの広がりを示すシグナルとは言い切れないという見方だ。
Glassnodeの指標も、市場の受け皿が改善している可能性を示している。4月9日時点で、長期保有者の30日純ポジション変化は8万8000BTCの純増を維持した。2月に記録した15万2000BTCの純減からは明確に持ち直しており、潜在的な売り圧力が和らいだ可能性がある。
買い増し主体の保有量も増えている。これらの主体の総保有量は火曜日に430万BTCを上回り、木曜日には450万BTCまで拡大した。古いウォレットから移動したコインが、相対的に保有意欲の強い主体へ移っている兆候とされ、休眠ウォレット由来の売りが市場に与える衝撃は小さくなりつつある可能性がある。
相場の底打ちを示唆する指標も出ている。CryptoQuantのアナリスト、モレノDVは、足元のビットコインのポジショニングを左右する主要指標として2つを挙げた。短期シャープレシオはマイナス40まで低下しており、この水準は2015年、2019年、2020年、2023年の主要な買い集積局面と歴史的に重なるという。
また、30日ベースの買い・売り圧力デルタは、強い売り圧力を示すマイナス0.05以下の領域を通過し、中立圏へ戻る流れを示した。モレノDVはこれについて、「投げ売り局面はおおむね終了した状態」と評価。強制的な売りが鈍化し、需要が段階的に回復しているとの見方を示した。
もっとも、上昇トレンドの再開を断定するのはなお早いとのシグナルも残る。足元の数値は、供給逼迫と需要回復の確認の間に位置しており、マクロ環境や流動性の動向が今後の転換スピードを左右し続けるとみられている。
今回の大口売却は規模こそ大きいが、市場が注視しているのは1月時点とは異なる需給構造だ。長期保有者のフローは純増に転じ、買い増し主体の保有量も拡大している。このため、ビットコインが7万~7万2000ドルのレンジを維持できるかが、短期的な方向感を左右する焦点となっている。