Bitcoin(BTC)が7万ドル台を回復した。市場では、今後の上昇余地は暗号資産市場固有の材料よりも、原油価格の動向や米金融政策への思惑に左右されるとの見方が出ている。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanによると、Bitcoinは週初めに6万7000ドルまで下落した後、9日までに7万1000ドルへ反発した。
背景には、米国とイランが火曜日に2週間の停戦で合意したことを受け、国際原油価格が急落した流れがある。原油価格は約15%下落し、1バレル=100ドルを下回った。Bitcoinはこれまでも7万ドルを複数回上回ったが、上昇が定着しなかった経緯がある。一時的に上抜けしても、上昇基調を支える材料に乏しかったためだという。
Bitfinexのアナリストは、原油安が続けばBitcoinは一段高となる可能性があるとみている。原油価格が低水準で推移すれば、中央銀行の利下げ時期が前倒しされるとの観測が強まり、利回りを生まない資産であるBitcoinには追い風になるという。原油安が3月に強まったインフレ圧力を和らげれば、米連邦準備制度理事会(Fed)の年後半の利下げ余地も広がると分析した。
上値の節目として注目されているのは、7万2200〜7万3500ドルの価格帯だ。Tesseract Groupのアダム・セイビル・ブラウンは、この水準に約60億ドル(約9000億円)相当のショートポジションが積み上がっていると明らかにした。このレンジを明確に上抜ければ、ショートカバーが加速し、Bitcoinが8万ドルまで上昇する可能性があるとの見方も出ている。
一方で、この上昇シナリオは地政学リスクに大きく左右される可能性がある。停戦にはすでに不安定な兆候も出ている。イスラエルはレバノンを空爆し、同地域は停戦合意の対象外だと主張した。仲介国として取り沙汰されたパキスタンは、これとは異なる見解を示した。イランメディアは、最初のタンカー通過から数時間後、ホルムズ海峡を通る原油輸送が再び中断したと伝えた。交渉が決裂すれば、原油価格が再び1バレル=100ドルを超え、Bitcoin相場の重荷になるとの警戒もくすぶる。
利下げ期待にもなお不透明感が残る。一部アナリストは、エネルギー価格の上昇が需要を大きく冷やさないまま、インフレ圧力を再燃させる可能性があるとみている。この場合、Fedは政策金利を当面3.5%前後で据え置くとの観測が浮上する。Bitfinexは、ホルムズ海峡の封鎖が続けば原油価格が120ドルまで上昇する可能性があると警告した。ブラウンも、停戦が崩れれば当初想定より市場への衝撃が大きくなる可能性があると述べた。
別の観点では、Bitcoinをポートフォリオに一部組み入れる戦略が、複数の暗号資産に分散投資するより効率的になり得るとの研究も示された。Fidelity Digital Assetsが先月公表した調査によると、過去10年間で株式・債券ポートフォリオにBitcoinを10%組み入れた場合の年率リターンは24%だった。5%組み入れた場合でも年率リターンは17.5%と、Bitcoinを組み入れない場合の9.4%を上回った。BlackRockは2024年末時点で1〜2%の組み入れでも十分なエクスポージャーを確保できるとし、Grayscaleは5%を収益性とリスクの均衡点として提示している。