米国の働きかけを受けて中東情勢を巡る警戒感が和らぎ、暗号資産市場ではビットコインが上昇した。ビットコインは一時7万2000ドル台を回復し、米株市場ではナスダック総合指数が反発した。一方、原油先物は上げ幅を縮小し、ソフトウエア株ETFのIGVは下落した。
9日(現地時間)、CoinDeskによると、イスラエルがレバノンとの協議を早期に始める方針を示したことを受け、ビットコインは一時約1.3%上昇した。足元では7万1700ドル近辺で推移している。
相場は取引序盤の軟調な地合いを切り返した格好だ。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は閣僚に対し、レバノンとの協議を可能な限り速やかに開始するよう指示したと明らかにした。
これに先立ち、NBCニュースは、ドナルド・トランプ米大統領がネタニヤフ首相に対し、レバノンへの爆撃の強度を下げるよう求めたと報じた。週初に公表された停戦合意が揺らぐ可能性を懸念したためだという。
こうした報道を受け、暗号資産市場は即座に反応した。ビットコインは関連報道の後に上げ幅を広げ、24時間ベースでは2%高となった。米株式市場でも序盤の小幅安が解消され、ナスダック総合指数は0.65%上昇した。
同じ時間帯に、米国産標準油種WTIは一時1バレル103ドル近辺まで上昇した後、98.60ドルまで反落した。中東リスクの緩和期待が原油相場の上値を抑え、投資家のリスク選好を下支えしたとみられる。
暗号資産の中では、ビットコインの強さが際立った。Ethereum、Solana、XRPの上昇率はいずれも1%未満にとどまり、主要アルトコインに比べてビットコインへ資金が向かった構図がうかがえる。
一方、テクノロジー株との値動きには足元で乖離が出ている。ここ数カ月はビットコインと歩調を合わせる場面が目立っていたソフトウエア株だが、この日は軟調だった。iShares Expanded Tech-Software ETF(IGV)は4%安となり、主要な下値支持線とされる76ドル前後に接近した。同水準は過去にも下値のめどとして意識されてきた価格帯だ。
直近1カ月の騰落率でも差が広がっている。ビットコインが9%上昇したのに対し、IGVは12%下落した。20日移動平均に基づくビットコインとIGVの相関係数は0.34まで低下しており、両資産の連動性が弱まっていることを示している。
市場では、ビットコインが地政学要因に対してこれまで以上に敏感に反応しているとの見方も出ている。レバノンとの協議開始観測や爆撃縮小要請、停戦維持への期待が相次ぐ中で、ビットコインは主要アルトコインやソフトウエア株より先に持ち直した。今後は中東情勢の変化に加え、原油相場の方向感や、ビットコインとテクノロジー株の相関低下が焦点になりそうだ。