米財務省のスコット・ベッセント長官は9日、暗号資産の市場構造を定める法案「CLARITY Act」について、米上院銀行委員会に早期審議を促した。ステーブルコイン規制に続く制度整備を急ぎ、成立後はドナルド・トランプ大統領の署名に持ち込みたい考えだ。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、ベッセント長官は米Wall Street Journal(WSJ)への寄稿で、同法案の必要性を強調した。CLARITY Actを巡り、公の場でここまで踏み込んで成立を求めたのは今回が最も明確な発信とみられる。
CLARITY Actは2025年7月、米下院で超党派の支持を得て294対134で可決した。一方、上院ではステーブルコインの利回り条項や、委員会ごとに示された競合案を巡る隔たりが残り、審議は進んでいない。
ベッセント長官は同法案を、トランプ大統領が2025年7月に署名したドル連動型ステーブルコイン規制法「GENIUS Act」に続く制度整備と位置付けた。ステーブルコイン規制だけでは、トークン化資産や分散型取引所を支える市場インフラのルール整備は不十分だと訴えた。
寄稿では、世界のデジタル資産市場の規模が2兆ドル〜3兆ドルで推移し、米国人の約6人に1人が何らかの形でデジタル資産を保有していると指摘した。そのうえで、米上院銀行委員会が審議に着手すべき段階に来ていると主張した。
日程面の余裕も乏しい。2026年の中間選挙で議会勢力が変われば、暗号資産関連法案は次の会期以降に持ち越される可能性がある。シンシア・ルミス上院議員は先月、米上院銀行委員会の公聴会が4月末に開かれる可能性があると明らかにしていた。
一部論点では歩み寄りも進んでいる。トム・ティリス上院議員とアンジェラ・オルズブルックス上院議員は3月、ステーブルコインの利回り条項を巡って原則合意に達したと伝えられている。ただ、分散型金融(DeFi)の保護や不正資金対策を巡る条項はなお残されたままだ。
ベッセント長官は、規制の空白が生むコストにも言及した。ルールの不透明さによって、暗号資産関連の開発が、より明確な制度を持つ地域へ流出していると警告し、アブダビとシンガポールを例に挙げた。
そのうえでCLARITY Actについて、取引プラットフォームの登録制度を整え、どのデジタル資産が証券に当たるのかの判断基準を明確にし、マネーロンダリング対策の監督も強化する枠組みだと説明した。
米上院銀行委員会が中間選挙本格化の前に動けるかどうかが、法案成立の分岐点となりそうだ。年内に審議入りできなければ、米国の暗号資産規制はステーブルコイン分野にとどまり、市場構造を定める中核法制は再び先送りされる可能性がある。