BitMEX共同創業者のArthur Hayes氏が、イランがホルムズ海峡の通航料をビットコインで徴収しているとの見方に疑問を示した。船舶の通航料支払いに対応するビットコイン取引が確認されるまでは信用できないとの立場を明らかにした。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、Hayes氏は9日、X(旧Twitter)への投稿で、実際の通航料支払いに結び付いたオンチェーン取引が確認されない限り、この主張は信じないと述べた。
発端となったのは、イランがホルムズ海峡を通過するタンカーに対し、1バレル当たり約1ドル(約150円)の通航料を課し、暗号資産または中国人民元で受け取っているとの報道だ。イランの石油・ガス・石油化学製品輸出業者連合の報道官、ハミド・ホセイニ氏は、タンカーが貨物情報を当局にメールで送ると通航料が算定されると説明。ビットコインは利用可能な決済手段の一つとして挙げられた。
報道では、超大型タンカーでは負担額が最大200万ドル(約3億円)に達し、足元の相場では約281BTCに相当する可能性があるという。決済は数秒で完了するとも伝えられており、要求に応じない場合はイスラム革命防衛隊(IRGC)が通航を阻止するとの説明も出ている。
ただ、ビットコインによる決済が実際に行われたかどうかは確認されていない。Hayes氏は投稿で、「船舶の通航料支払いに対応するBTC取引の確認までは、イランがビットコインで通航料を受け取っているとは信じない」と指摘。そのうえで、「そうでなければ、IRGCが西側の腐敗した法定通貨の金融システムをからかっているだけだ」と述べた。
こうした見方の背景には、海峡の通航がなお正常化していない現状もある。米国とイランの2週間の停戦にもかかわらず、船舶の運航はほとんど再開していない。
船舶追跡データによれば、停戦発効後、石油・ガス輸送船は1隻も通過していない。数百隻が待機しており、平時には1日当たり約135隻が行き交うこの水路でも、厳しい制約が続いている。
停戦前には、一部の船舶がIRGCの護衛の見返りとして、中国人民元やTether(USDT)などのステーブルコインで通航料を支払ったとの報道もあった。ただ、ビットコイン決済についてはオンチェーンで確認されていない。欧州連合(EU)も、ホルムズ海峡の航行の自由は、いかなる支払いや通行料も伴わず保障されるべきだとの立場を示している。
焦点は、実際の取引を示す証拠の有無だ。特定の船舶の通航料支払いに対応する検証可能なビットコインのオンチェーン取引が確認されれば、国家レベルでのエネルギー決済へのビットコイン活用事例としては最大級の一つとなる可能性がある。逆に証拠が示されなければ、今回の論争は市場の期待をあおっただけに終わる公算が大きい。