米経済学者でベストセラー作家のジム・リカーズ氏が、ビットコイン(BTC)の安全性と実用性に改めて疑問を呈した。利用者が想像する以上に取引の追跡や分析が可能で、日常決済の手段としても限界があるとの見方を示している。
ブロックチェーンメディアのThe Crypto Basicが8日(現地時間)に報じたところによると、リカーズ氏は最近出演したポッドキャストで、ブロックチェーン技術とその上で流通する暗号資産は分けて評価すべきだと述べた。
同氏は、ブロックチェーンそのものについては信頼性の高い技術だと評価した。1980年代から発展してきた技術であり、記録管理システムとしての役割を広げていると説明した。一方で、こうした基盤技術の堅牢性が、ビットコインのような暗号資産の安全性や有用性をそのまま担保するわけではないと指摘した。
とりわけ問題視したのは、ビットコインの取引が持つ追跡可能性だ。ブロックチェーン自体が簡単に破られるわけではないものの、ネットワーク上の取引は、多くの利用者が考える以上に追跡・分析の対象になり得るとした。
リカーズ氏は、米国の国家安全保障関連業務に携わった経験にも触れ、フォレンジック分析ツールを使えば、ビットコイン上の活動は利用者の想定以上に可視化される可能性があると語った。
暗号資産の実用面についても、同氏は否定的な見方を示した。サトシ・ナカモトのビットコイン・ホワイトペーパーまで確認し、長年この分野を見てきたが、暗号資産は実用を軸とした革新というより、投機的な仕組みに近いと考えているという。「暗号資産はカジノに似ている」とも述べ、価値の循環がエコシステム内部にとどまりやすい構造だと主張した。
また、テザーやイーサリアム、ソラナといった資産の間を移動する取引については、カジノでチップを交換するようなものだと表現した。そのうえで、テザーなどのステーブルコインは、資産間で流動性を移すための価値退避手段として機能していると分析した。ただ、暗号資産間の取引が活発でも、その価値が暗号資産の外部にまで広がるかどうかは別問題だとした。
日常決済手段としての限界にも言及した。暗号資産を法定通貨に換えて使うことはできるものの、ビットコインのような資産を日常生活で直接使う明確な用途は限られると指摘。取引の枠を超えた場面で、はっきりとした消費上の価値を示せていないとの認識を示した。
今回の発言は、暗号資産を巡る長年の論争を改めて浮き彫りにした。リカーズ氏のように安全性や有用性に懐疑的な見方がある一方、市場の支持層は、採用拡大やインフラ整備、実利用の増加を根拠に反論している。The Crypto Basicは、機関投資家マネーの流入が進むなかでも、暗号資産が投機手段なのか、それとも金融技術の基盤となるのかを巡る議論は続いていると伝えた。