SEMITSは9日、半導体工場内物流のボトルネック解消に向け、OHT(空中搬送装置)とクリーンコンベヤーを組み合わせた運用戦略を発表した。AMHS(半導体自動搬送システム)の中核技術を軸に生産能力の向上を支援するとともに、窒素(N2)パージシステムを新たな収益の柱として育成する方針も示した。
同社は同日、ソウル・汝矣島で記者懇談会を開き、上場後の成長戦略を説明した。ミン・ナムホン代表は「技術的な参入障壁が高い前工程市場で、グローバルファブの歩留まり向上と生産能力拡大を支えるパートナーを目指す」と述べ、「今回のKOSDAQ上場を足掛かりに、AMHS分野のグローバル企業へ成長したい」と語った。
同社によると、半導体工場内物流の主力であるOHTは、日本企業2社が世界市場の約90%を握る。一方で、導入台数を無制限に増やせるわけではなく、一定水準を超えると運用効率が低下するという。
このためSEMITSは、OHTを主軸に据えながら、サブシステムとしてクリーンコンベヤーを組み合わせ、搬送、待機、保管の流れを分散させることで生産量の引き上げを図る。ミン代表は「OHT単独で運用するより、コンベヤーを併用したほうが生産量は高まる」と強調した。現在、半導体前工程向けクリーンコンベヤー分野では、韓国と中国で単独ベンダーの地位を維持しているという。
同社は、ハードウェアだけでなくソフトウェア面での競争力も強みとして挙げる。ミン代表は「外部からはハードウェア企業に見えるかもしれないが、実際にはリアルタイムで大量データを分散処理するアーキテクチャを持つソフトウェア企業に近い」と説明。「分散制御技術が、他社より高い時間当たり搬送量を実現し、前工程での単独ベンダーの地位を支える中核になっている」と述べた。
また、PCB設計からファームウェア、ハードウェア、ソフトウェア、サーバーまでを自社人材で一貫して手掛ける体制を整え、顧客要件に迅速に対応できるとしている。受注残高は273億ウォン。ミン代表は、2026年の売上高が創業以来の過去最高になるとの見通しを示した。
次世代物流プラットフォームとしては、工程搬送ロボットの開発にも着手した。従来のOHTは単線レール上を移動する方式で、半導体工場1カ所当たり約1000台が導入上限とされる。これに対し、開発中の次世代搬送ロボットは、天井に平面型の走行空間を構成し、左折、右折、Uターンを自在に行えるという。
さらに、人工知能アルゴリズムに基づく経路探索とリアルタイムの状態監視を組み合わせることで、約600台でOHT1000台に相当する生産量を処理できる見通しだ。ロボットが故障した場合は別のレスキューロボットが回収に当たり、運用の継続性を確保する。開発完了の目標時期は今後2〜3年以内としている。
◆「Sプレート」で保証を維持したままN2注入
SEMITSは、コンベヤーを基盤とした物流改善に加え、N2パージシステムを新たな売上の柱として育成する。10nm未満の先端工程やHBMなど7nm以下の工程では、ウエハー保管ボックスにN2不活性ガスを注入することで、歩留まりが約3%改善するという。これは学術誌に基づく業界共通のデータであり、N2注入そのものの効果だとしている。
従来方式では、ロードポートを装置から取り外して分解し、N2注入用の穴開けや配管工事を施した後に再組み立てする改造が必要だった。装置メーカーの同意を得ずに実施した場合、保証が失効する恐れがある。
これに対しSEMITSは、厚さ3mmの「Sプレート」をロードポート上に載せるだけでN2注入が可能な非改造型ソリューションを開発したと説明した。N2供給配管は装置内部を通さず、ロードポート側面に沿って外部へ引き出し、制御装置に接続する仕組みという。
ミン代表は「装置の保証範囲を維持しながら歩留まりを高められる点が顧客に評価された」と述べた。現在は韓国および海外で評価試験を進めており、年内に結果が出る見通しだという。