Teslaの株価収益率(PER)が300倍を超える水準で推移し、市場で割高感を指摘する声が再び強まっている。株価は直近6カ月で約20%下落したが、バリュエーションはなお高く、ロボタクシー事業への期待と実際の業績の乖離が焦点になっている。
PERは株価を1株当たり利益(EPS)で割って算出する指標で、一般に数値が高いほど利益に対して株価が割高とみなされる。
電気自動車専門メディアのCleanTechnicaによると、TeslaのPERは直近6カ月の株価下落後も300~400倍の水準を維持している。AppleやMicrosoft、Alphabet、Amazon、NVIDIA、Metaなどの大手ハイテク株と比べても際立って高い。
同期間のPERは、Appleが約30倍、MicrosoftとAlphabetが25~28倍、Amazonが45~60倍、NVIDIAが50~70倍、Metaが22~26倍だった。
こうした水準を正当化できるかどうかを巡って、市場の見方は割れている。売上高の伸び鈍化や販売減少基調を踏まえれば、PER300倍超は持続しにくいとみる投資家は少なくない。
一方で、Teslaを巡っては過去にも同様の割高論が繰り返されてきた。長期的な成長期待が維持される限り、一定のプレミアムは許容されるとの見方もある。
ただ、Teslaの成長シナリオは以前とは変わってきたとの評価が目立つ。2018~2019年には年50%の成長目標を掲げていたが、この数年は販売台数が横ばい傾向にあり、主な計画の遅れも続いた。
このため、過去の高成長期待をそのまま現在の株価に当てはめるのは難しいとの指摘が強まっている。
足元の株価を支える材料としては、今後の利益急増の可能性やロボタクシー事業への期待が挙がる。ただ、短期間で業績が急回復する明確な根拠は乏しいとの分析もある。
機関投資家の見方も慎重だ。J.P.モルガンは、Tesla株が2026年にさらに約60%下落する可能性があると予測した。その場合でもバリュエーションはなお高いものの、現状よりは妥当な水準に近づく可能性があるとしている。
主力のEV事業には一部で明るい材料もある。Teslaの3月の韓国市場での販売台数は、前年同月比約300%増の1万1,134台となった。
もっとも、全体販売に占める比率はなお限定的で、1~3月期のグローバル販売は低調だった。
日本市場でも販売網の拡充を進めている。Teslaは日本で店舗35カ所、サービスセンター14カ所を運営しており、年末までに店舗を60カ所、サービスセンターを30カ所超に増やす計画だ。
日本での昨年の販売台数は約1万台で、今年は最大の輸入車ブランドになる目標を掲げている。
ただ、市場では、こうした地域展開の積み上げだけでは現在の高PERを説明するには不十分だとの見方が優勢だ。Tesla株は過去5年間で約52%上昇したが、その間も成長目標や技術開発計画の遅れが繰り返されてきたことが重荷になっている。
今後の焦点は、Teslaが新たな成長ドライバーを実際の業績に結び付けられるかどうかにある。EV販売の持ち直しや海外市場の拡大、ロボタクシーへの期待は続いているものの、利益改善が伴わなければ割高論は当面くすぶり続けそうだ。