中国が、急増するAI計算需要への対応に向け、海底データセンターの実装を進めている。上海近海では、洋上風力発電に直結した海底データセンターが本格稼働に入った。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は7日、中国が逼迫する計算資源需要に対応するため、データセンターの設置場所を陸上から海上へ広げる取り組みを具体化していると報じた。
中国国営放送CCTVによると、この施設は洋上風力発電に直接接続した海底データセンターとして世界初の事例という。設備は上海東方の沿岸から約10km沖合の水深10m地点に設置された。
建設を担ったのはShanghai HiCloud Technology。船舶向け航法・通信機器を手掛けるHighlanderの子会社だ。投資総額は16億人民元で、計画処理容量は24MWとしている。
HiCloudはこのプロジェクトを、陸上のクラウド・通信インフラと連携する海底データセンターの技術面と事業面の可能性を検証する中核プロジェクトと位置付ける。活用分野としては、AIワークロードのほか、エンボディド・インテリジェンス、自動運転を挙げた。
今回の上海プロジェクトは、中国が計算資源の拡充に向け、陸上以外の新たなインフラ設置先を模索する流れの中で進められた。Highlanderはこれに先立ち、海南島近海でも海底データセンターの整備を進めており、同施設は前年から稼働している。
上海市傘下のシンクタンク、上海発展改革研究院は、海底データセンターと洋上風力の組み合わせについて、AI処理に必要な高効率・低遅延の計算資源供給に寄与し得ると評価した。土地資源が限られる上海では、用地確保の難しさに加え、電力や冷却負担を同時に和らげる選択肢として注目されているという。
もっとも、海底データセンターがすぐに標準的なインフラとして定着するかは見通せない。Microsoftは水中データセンターの実証実験「Project Natick」を通じて関連技術を研究してきたが、2024年には運用面の実現性に懸念があるとして、積極展開を見送っていることを明らかにした。
研究機関の間でも、海底データセンターはなお初期段階にあるとの見方が強い。標準化の遅れ、保守・維持管理の難しさ、経済性の検証が主な課題で、商用化には追加の技術蓄積とコスト効率の確保が欠かせないと指摘されている。