米ホワイトハウス経済諮問委員会がステーブルコインの利回り規制に関する報告書を公表した。写真=Shutterstock

米ホワイトハウス経済諮問委員会は8日、ステーブルコインの利回りを禁止しても、銀行融資の押し上げ効果は限定的にとどまるとの試算を公表した。銀行融資の増加額は21億ドル(約3,150億円)で、全体の0.02%にすぎず、一方で消費者利益は損なわれる可能性があると指摘した。

公表された報告書によると、ステーブルコインの利回り提供を禁じた場合、銀行融資は基本シナリオに比べて約21億ドル増える見通しだ。ただ、その効果は限定的で、委員会は消費者側に純コストが生じるとみている。

この見方は、ステーブルコインが競争力のある利回りを提供すれば銀行預金が大規模に流出するとの金融業界の懸念とは一線を画す。米議会ではステーブルコイン規制を巡る議論が進んでおり、発行体による直接的な支払いだけでなく、仲介業者の報酬プログラムなどを通じた間接的な利回り提供も禁止対象に含めるかが論点になっている。

こうした議論の中で、銀行業界は規制文言の一段の厳格化を求めてきた。

Independent Community Bankers of Americaはこれまで、利付型ステーブルコインが認められれば、最大1兆3000億ドル(約195兆円)の預金流出と、8500億ドル(約128兆円)の融資減少が起こり得ると警告している。

Bank of AmericaやJP Morganの経営陣を含む銀行関係者も、ステーブルコインの利回りには銀行預金と同等の規制を適用すべきだと主張してきた。従来型の監督が及ばないままでは、預金を吸収する並行的な金融システムになりかねないとの認識を示している。

これに対し、経済諮問委員会は資金移動の構造を異なる角度から分析した。ステーブルコインの準備資産の大半はなお銀行システム内にとどまり、その相当部分は米国債や別の預金形態を通じて金融システムに再び組み込まれると指摘した。

その結果、伝統的な金融機関のバランスシートからステーブルコインへ移る資金の実質的な規模は限られると結論付けた。

委員会は、準備資産全体のうち、実際に融資に回らない部分は約12%にとどまると推計した。利用者資金がステーブルコインに移っても、ドル資金そのものは金融システム内に再流入するため、信用創出への影響は緩和されるとしている。

報告書は、「利回り禁止は銀行融資の保護にほとんど寄与せず、その一方で、ステーブルコイン保有に競争力のある利回りが付くことで得られる消費者便益を失わせる」としている。

ステーブルコインの利回りを巡る論争は、米国で立法作業が加速するなか主要論点の一つに浮上している。規制当局は、昨年制定されたGENIUS法に基づく条項の実施にすでに着手しているという。

同法は、1対1の準備資産保有を義務付ける一方、発行体が利回りを直接支払うことを禁じている。

さらに、米連邦預金保険公社(FDIC)は、ステーブルコイン発行体の監督に向けた新たな枠組みを提案した。業界では、CLARITY法を巡る交渉が最終段階に近づいているとの見方も出ている。

今回の報告書は、利回り規制が銀行保護にどこまで有効なのか、また消費者便益とのバランスをどう取るべきかを巡る議論に影響を与える可能性がある。

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