JPモルガンは、2026年1〜3月の暗号資産市場への資金流入が約110億ドル(約1兆6500億円)にとどまり、流入ペースが大きく鈍化したとの見方を示した。市場を下支えしたのは、Strategyによるビットコイン購入と一部の暗号資産関連ベンチャー投資だった。
CoinDeskが8日(現地時間)に報じたところによると、JPモルガンはこの流入額を年率換算で約440億ドル(約6兆6000億円)と試算。2025年の流入ペースの約3分の1にとどまるとみている。
焦点となるのは資金流入の内訳だ。JPモルガンは、1〜3月の資金フローの大半がStrategyのビットコイン購入と、限られた案件に集中した暗号資産分野のベンチャー投資によるものだと分析した。
ニコラオス・パニギルツォグル氏率いる分析チームは、「年初以降、個人投資家と機関投資家のフローは小幅にとどまるか、むしろマイナスだった。2026年1〜3月の暗号資産市場への資金流入の大半は、Strategyのビットコイン購入と、集中したクリプト関連ベンチャー投資が占めた」と指摘した。
市場全体の地合いも弱かった。1〜3月の暗号資産の時価総額は約20%減少し、ビットコインは約23%、イーサリアムは30%超下落した。
JPモルガンは、マクロ経済や地政学リスクを背景にリスク資産回避が強まり、清算が拡大したことに加え、アルトコインの下落がより大きかったと指摘した。
もっとも、期末にかけて相場はやや落ち着きを取り戻した。ビットコインは7万ドル近辺で横ばいとなり、ビットコイン現物ETFの需要にも改善の兆しがみられた。
市場の一部では、選別的なアルトコインやオンチェーン活動が相対的に底堅く推移した。
JPモルガンの推計は、暗号資産ファンドの資金フロー、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の先物ポジション、ベンチャーキャピタルの資金調達、企業財務による需要を合算したもの。Strategyなど企業によるビットコイン購入も含めている。
その一方で、投資家主導の需要は総じて弱かった。ビットコインとイーサリアムのCME先物ポジションは2024年、2025年に比べて低調で、機関投資家需要が年初来で小幅なマイナスに転じた可能性もあるという。
現物ETFも1〜3月通期では純流出となった。流出は1月に集中したが、3月にはビットコイン現物ETFで限定的ながら資金流入の持ち直しがみられた。
JPモルガンは、こうした動きについて、相場下落局面で現物ETFが市場の十分な緩衝材にはならなかった可能性を示しているとみている。
企業の動きは一様ではなかった。Strategyは株式発行でビットコイン購入資金を調達し、引き続き主要な買い手となった。
同社は今後も普通株・優先株の発行を通じてビットコインの積み増しを続ける方針を示唆した。一方、ほかの企業保有者は守り姿勢を強め、一部では自社株買いの原資確保に向けてビットコインを売却する動きも出た。
ビットコイン採掘企業は1〜3月に純売り越しとなった。JPモルガンは、流動性の確保や設備投資、債務管理のため、保有分を売却するか担保として活用したとみている。
分析チームは、こうした売却について、信用悪化を示すものではなく、資金調達環境の引き締まりとバランスシート管理の結果だと説明した。
ベンチャー投資は相対的に堅調だった。年率換算の投資ペースは過去2年を上回った一方、案件は少数の大型ディールに集中した。
資金はインフラ、ステーブルコイン、決済、トークン化の分野に向かい、ゲーム、非代替性トークン(NFT)、取引所関連プロジェクトへの関心は低下した。
JPモルガンは、1〜3月の暗号資産市場について、投資家全体のリスク選好が弱まるなか、Strategyの積極的なビットコイン購入と一部ベンチャー投資が資金流入を支えた構図だったと総括した。
この流れが続く場合、今後の市場資金の回復は、現物ETF需要の持ち直し、機関投資家のポジション回復、企業財務による買いの持続性に左右されるとしている。