米財務省は8日、決済用ステーブルコイン発行体に対し、資金洗浄対策(AML)とテロ資金供与対策(CFT)、制裁順守の体制整備を求める規則案が公表された。発行体には今後、特定のステーブルコイン取引を遮断・凍結・拒否できる機能の整備も求める。銀行に近い規制を適用する内容となる。
同日公表されたのは、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)と海外資産管理局(OFAC)が共同でまとめた「GENIUS法」の施行規則案。Cointelegraphが報じた。GENIUS法は、ドナルド・トランプ米大統領が2025年7月に署名した、ステーブルコイン決済を巡る法律だ。
規則案では、決済用ステーブルコイン発行体に対し、AML/CFTプログラムの策定と維持を義務付けるほか、制裁順守プログラムの運用も求めた。発行体は銀行秘密法(BSA)上の金融機関として位置付けられる。
今回の規則案の焦点は、発行体に取引統制機能を求めた点にある。規則案は、発行体が一部のステーブルコイン取引について、遮断・凍結・拒否を実行できなければならないと明記した。
ブロックチェーン分析企業Nominisの最高経営責任者(CEO)、スニル・レビ氏は、この変更について、ステーブルコイン発行体を事実上、銀行に近いゲートキーパーとして位置付けるものだと指摘した。銀行秘密法とOFAC規則が全面適用されれば、ウォレット凍結や取引遮断、資産の差し押さえが大幅に増える可能性があるとしている。
今回の措置は、GENIUS法に伴う実施手続きの一環。同法は、2025年7月の署名から18カ月後、または連邦当局が関連規則を公表してから120日後のいずれか早い時点で発効する仕組みだ。市場では、ステーブルコイン発行を制度の枠内に取り込む内容として、暗号資産市場に前向きな材料と受け止められてきた。
連邦預金保険公社(FDIC)も7日、別の施行規則案を公表した。FDICは、GENIUS法の下ではステーブルコイン保有者そのものは預金保険の保護対象ではないと説明する一方、発行体の準備金として預けられた資金は保護対象となる可能性があるとした。利用者保護と発行体の準備金保護の範囲を切り分けて示した形だ。
一方、米議会ではデジタル資産の市場構造を扱う「Clarity法」の審議が遅れている。同法案は昨年、下院を通過したが、上院銀行委員会は本採決に先立つ修正案審議の日程をまだ再設定できていない。こうした中、暗号資産業界と銀行業界はホワイトハウス関係者らと会談し、ステーブルコインの利払い、トークン化株式、倫理問題などを協議している。