米証券取引委員会(SEC)は、執行局長にデイビッド・ウッドコック氏を任命した。暗号資産政策に直接関わった経歴は確認されておらず、SECの暗号資産取り締まりが今後どう動くのかに市場の関心が集まっている。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが8日(現地時間)に報じたところによると、ウッドコック氏は5月4日に就任し、約1000人規模の執行部門を率いる。
今回の人事は、マーガレット・ライアン氏の突然の辞任で空席となっていたポストを埋めるものだ。サム・ウォルデン暫定局長は、ウッドコック氏の正式就任まで職務を担う。ライアン氏は3月16日に辞任し、在任期間は6カ月だった。
ライアン氏の退任を巡っては、その背景にも関心が集まっている。報道によると、同氏はドナルド・トランプ大統領側の関係者に結び付く案件に加え、暗号資産事業家ジャスティン・サン氏を巡る詐欺容疑についても積極姿勢を示していたという。
一方、ポール・アトキンスSEC委員長や、ほかの共和党寄りの任命職は、こうした動きに反対したと伝えられている。
ジャスティン・サン氏を巡る案件は、すでに3月の合意でいったん決着している。SECはサン氏と関連企業3社を巡る案件について、1000万ドルで和解した。サン氏は容疑を認めても否定もしていない。サン氏は、トランプ一族のWorld Liberty Financial(WLFI)プロジェクトの主要投資家としても名前が挙がった。
その後、リチャード・ブルーメンソール上院議員は関連記録の提出を要求した。同議員は、アトキンス体制下の執行方針を「ペイ・トゥ・プレイ(pay-to-play)」と批判し、規制執行が政界や利害関係と結び付く可能性に懸念を示した。
ウッドコック氏の経歴は、企業法務やアドバイザリー業務が中心だ。2011年から2015年までSECフォートワース地域事務所を率い、直近ではGibson, Dunn & CrutcherのパートナーやExxonMobilの補佐法務責任者を務めた。デジタル資産政策との直接的な接点は確認されていない。
今回の起用は、SECで進む執行体制の縮小とも重なる。SECが同じ週に公表した2025会計年度の執行報告書によると、制裁措置は456件と前年の583件から22%減少した。執行部門の人員も同期間に18%減った。
アトキンス委員長は人事発表にあたり、投資家に最も大きな被害を与える類型の違法行為に引き続き重点を置く重要な局面で、ウッドコック氏のSEC復帰を歓迎すると述べた。ウッドコック氏が暗号資産取り締まりの後退基調を引き継ぐのか、それとも別の方向を打ち出すのかが今後の焦点となる。