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暗号資産市場ではこの1週間、米国のClarity法案の審議停滞を背景とする規制不透明感の拡大に加え、ビットコインのレンジ相場継続、量子計算を巡るセキュリティ懸念、XRPの需給や価格見通しを巡る議論が主なテーマとなった。

◆Clarity法案停滞、規制の先行きに不透明感

市場の最大の関心は、米国のデジタル資産規制の行方だ。米上院はClarity法案を4月末に委員会で審議する見通しを示したが、ステーブルコインの利息付与を禁じる条項を巡って、業界と議会の対立が強まった。

Coinbaseは現行の修正案を支持できないとの立場を改めて表明した。これを受け、市場では法案の年内成立確率は30%程度にとどまるとの見方も広がっている。

一方、CoinbaseのCLO(最高法務責任者)は、ステーブルコイン利息を巡る争点について合意が近いとの認識を示していた。ただ、その後に情勢が急変し、法案審議は再び不透明な局面に入った。

銀行と暗号資産企業の利害対立が、立法を阻む構造的な要因になっているとの指摘もある。

こうした規制の停滞は韓国でもみられる。韓国のデジタル資産基本法も、大株主の事後持分制限条項を巡る与野党対立で進展が止まっている。米韓の双方で制度整備が遅れていることから、デジタル資産規制の空白が長引くのではないかとの懸念も出ている。

◆ビットコインは6万〜7万ドル台でもみ合い継続

ビットコインは今週も6万〜7万ドル台のレンジを明確に上抜けできなかった。現物ETFへの資金流入は続いているものの、トランプ氏の関税政策を背景とするマクロ経済の不透明感が上値を抑えているとの見方が多い。

地政学リスクが高まる中、伝統的な安全資産とされる金が下落し、ビットコインも連れ安となったことで、「デジタルゴールド」としての位置付けが改めて問われた。

また、ビットコインを財務戦略に組み入れてきた企業の一部では、相場の弱含み局面で売却に動く事例も出た。企業保有分が市場の売り圧力になり得るとの警戒もくすぶっている。

もっとも、8日には相場に変化もみられた。米国とイランの休戦協議が始まったとの報道を受け、市場は一斉に反発。ビットコインは7万2000ドルを上回り、4.87%上昇した。イーサリアムやSolanaなど主要アルトコインも5〜8%台の上昇となった。

◆量子計算リスク、「将来の懸念」から足元の論点へ

投資家の間で予想以上に注目を集めたのが、量子計算を巡る脅威だ。Googleとカリフォルニア工科大学(Caltech)が共同発表した論文では、ビットコインやイーサリアムの暗号方式を解読するのに必要な量子資源が、従来想定より大幅に少なくなる可能性が示された。

論文では、ビットコインのリアルタイム取引の特性を突き、送金中の短時間で資金が危険にさらされる可能性にも言及している。これを受け、市場では量子計算リスクが「将来の課題」ではなく、足元で議論すべきテーマになりつつあるとの認識が広がった。

関連銘柄にも資金が向かった。耐量子計算、いわゆるポスト量子暗号を採用するブロックチェーンへの関心が高まり、QRLは論文公表後に40%急騰。Googleがポスト量子暗号対応チェーンとして挙げたAlgorandも16%超上昇した。

ビットコイン・コミュニティでは、量子リスクに対応するプロトコル更新案「BIP-110」を巡る議論も進む。サトシ・ナカモトが2010年の時点で量子コンピュータの脅威を想定し、対策の必要性に触れていた点も改めて注目された。

ただし、こうした対応そのものが新たなリスクになり得るとの反論もあり、議論はなお続いている。

◆XRP、提携・保有量・価格見通しで議論続く

韓国市場で個人投資家の関心が高いXRP関連では、規制、需給、価格見通しを巡る話題が相次いだ。論点は大きく3つある。

1つ目は、RippleとSWIFTのパートナーシップだ。RippleがSWIFTのパートナーに加わったことで、XRPへの期待が再び高まり、ガーリングハウスCEOの長期見通しも改めて注目を集めた。

2つ目は、Rippleによる大規模保有だ。Rippleが380億枚に上るXRPを保有していることが、銀行による採用の障害になり得るとの分析が出ている。

3つ目は、価格見通しを巡る見解の割れだ。市場では15ドルや27ドルといった強気目標を維持する見方がある一方、足元の下落基調や流動性の低さを問題視する声もあり、評価は分かれている。

Rippleの前CTOは、自身のXRP価格に関する発言は投資見通しではなく、送金効率に関する説明だったと述べた。Avalancheを巡っては、銀行のブロックチェーン採用を巡るエイプリルフールの応酬が、その後の業界内の本格的な論争に発展したという一幕もあった。

◆ステーブルコイン利用拡大の一方、DeFiの脆弱性も露呈

ステーブルコイン市場は、規制論争とは別に実利用の面で拡大が続いている。Standard Charteredの報告書によると、ステーブルコインの月間平均回転率は約6回となり、この2年で2倍に拡大した。

中でもUSDCは、決済用途や既存金融の代替、人工知能関連決済の拡大をけん引したとされる。RippleのCEOは、自社ステーブルコインが立ち上がれば、暗号資産の大衆化においてChatGPT登場に匹敵する波及効果を持ち得ると述べた。

一方で、今週はDeFi関連のハッキング被害が、ステーブルコインの統制構造を巡る議論を呼んだ。2億8500万ドル規模のDriftハッキングを受け、Circleが持つUSDCの凍結権限に改めて注目が集まった。

分散性を掲げるステーブルコインであっても、実際には発行体による統制権限が大きいのではないかという、根本的な問いを突き付ける格好となった。

韓国では、大手証券会社がデジタル資産取引所への関心を強めている。Mirae Asset Securitiesに続き、Korea Investment & Securitiesも取引所の持分取得を進めている。デジタル資産基本法など制度面の不確実性が残る中でも、将来の収益源を先取りしようとする動きと受け止められている。

また、New York Times(NYT)は調査報道で、ビットコイン創設者サトシ・ナカモトが、英国の暗号学者でBlockstreamのCEOを務めるAdam Backである可能性があると報じた。ただ、Adam Back本人はこれを強く否定した。

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