画像=Netmarble「SOL: Enchant」

Netmarbleが4月24日にサービスを開始する新作MMORPG「SOL: Enchant」が、正式開始前から注目を集めている。開発陣は、いわゆる「リネージュ系」のゲーム性を前面に打ち出し、ガチャや取引所、コレクション、放置狩りといった要素の採用を明言。さらに、ユーザーに運営権限の一部を与える「神権システム」を導入し、差別化を図る構えだ。一方で、ゲーム内経済のゆがみや運営面の混乱をどう抑えるかが課題となる。

こうした打ち出し方は、対戦型MMORPG市場の現実を反映したものでもある。ジャンル自体への疲労感が強まるなか、既存の仕組みを見せ方だけ変えて投入しても、ユーザーの関心を引きにくくなっているためだ。「SOL: Enchant」は、ジャンルの核となる欲求をあえて隠さず示したうえで、「ユーザー権限」という新たな要素を重ねることで差別化を狙う。

開発は、「リネージュM」の中核開発陣が参加した新興スタジオAltnineが担う。キム・ヒョス開発PDは3月のオンラインショーケースで、「ユーザーが企画そのものに直接参加したらどうなるか、という発想を形にした」と説明した。

中核となる仕組みが「神権システム」だ。ゲーム内では、神、主神、絶対神の3段階の権限構造を採用する。サーバー単位の「神」は、モンスター召喚や特定地域へのメテオ投下、安全地帯の設定、特定ユーザーのチャット禁止といった権限を持つ。

ワールド単位の「主神」は、閉鎖されたコンテンツの開放や報酬値の調整など、通常であれば運営側が担う領域にも関与できる。最上位の「絶対神」は全サーバーで1人のみとされ、アップデートやBMの選択、サーバー統合、設定のリセットまで決定できる仕組みだという。開発陣は、絶対神が望まないアップデートは、開発会社側も事実上押し切りにくいと説明している。

加えて、サーバーに蓄積された税収を持ち出せる権限や、任意のアイテムを直接生成できる権限も付与される。

神になる基準は、ゲーム内通貨「ナイン」の使用量だ。サーバーごとの神同士の競争を経て主神と絶対神が決まり、ナインを他者に渡して特定ユーザーの神就任を後押しする「貢献」システムも用意する。

注目されるのは、こうした設計が運営権限そのものを報酬体系に組み込んでいる点だ。従来のMMORPGが、装備や戦闘力、城の占領といった要素を軸に権力構造を設計してきたのに対し、「SOL: Enchant」は運営権限まで報酬に取り込んだ。

Netmarbleがサービス開始前に、サーバー開放時刻と初回アップデートの新クラスをユーザー投票で決めたのも同じ文脈にある。投票の結果、サーバー開放は正午12時、最初の新クラスはヒーラーに決まった。

収益化の構造も明確だ。「SOL: Enchant」では、ダイヤ(有料通貨)で購入するゴッドアーマー、霊体、装身具などの主要有料アイテムが取引対象に含まれる。アイテムを抽出して召喚券の形で取引所に出品できるほか、有料アイテムをゲーム内通貨のナインで購入できるように設計した。

ナインは、モンスター討伐、ダンジョン、装備分解、エンチャント失敗など、幅広いプレイを通じて獲得できる中核通貨だ。キャラクター経験値を変換して「ナインコア」を作成し、取引所で流通させる仕組みも導入する。

さらに、帰属アイテムをシステムが直接ダイヤで買い取る「公開購入」機能も備える。無課金・微課金ユーザーでも、プレイを通じて有料通貨を確保できるようにする狙いだ。

開発陣は、ナインをショップで直接販売しない方針を示している。いわゆるアイテムドロップ率や経験値獲得量を高める高額商品の販売もしないとしている。一方で、成長を補助する小幅な効果の経験値ポーションについては、ゲーム内通貨のナインでのみ購入可能とする予定だ。

24時間のオフライン放置プレイと、最大3キャラクターを同時に育成できる「スクワッドモード」も、別途利用券なしで無料提供する。

こうした設計の狙いは明確だ。無課金・微課金ユーザーには時間を投じて通貨を稼げる余地を示し、課金ユーザーには支出が取引可能な資産になるという動機を与える。キム・ジャンファンNetmarble事業部長が、「収益化できるのか」との質問に「自信がある」と答えたのも、その延長線上にある。

ただ、収益化しやすい構造が、そのまま安定運営につながるとは限らない。無制限のオフライン放置プレイ、3キャラクター同時育成、取引可能な有料アイテム、経験値の経済価値への転換、神権による税率や運営への影響など、センシティブな要素を一度に盛り込んでいるためだ。いずれも、ゲーム内経済のゆがみや、いわゆる作業場の拡大を招きかねない要素といえる。

開発陣は対策として、AI検知システムの導入に加え、監視人員を従来比で2倍に増やす方針を示した。ナインを大量生産しようとすると成長停滞が起きるよう、構造的な制限も設けるとしている。

もっとも、神権が強くなるほど権力集中や長期支配の問題は起こりやすくなる。取引の自由度が高まれば、一部勢力が経済を支配する可能性も高まる。この仕組みが健全な権力バランスにつながるのか、それとも組織力を持つ特定勢力への集中を招くのかは、サービス開始後に見極める必要がある。

初期の関心の高さを示す材料も出ている。サービス開始前に公開したゲーム内映像と、俳優ヒョンビンを起用した広告映像は、公開から1週間足らずでそれぞれ550万回、320万回の再生を記録した。

Netmarbleは前年にも、「RF Online Next」「Vampir」などMMORPGでヒットを出している。ただ、本作の真価が問われるのは初日の売上高ではない。初めて大きな権力衝突や経済のゆがみ、運営を巡る論争が生じた局面で、Netmarbleがどう収拾するかが、長期サービスの成否を左右する可能性が高い。

業界関係者は「神権システムは、開発会社が独占してきた意思決定権の一部をユーザーに渡す点で、実験的な試みであることは確かだ」としたうえで、「ユーザーが運営権限を持った瞬間、結果に対する責任の所在は曖昧になりやすい。Netmarbleがこの点をどう整理するかが、長期運営の最大の変数になる」と話した。

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