米連邦預金保険公社(FDIC)は7日、決済用ステーブルコイン発行体を対象とする包括的な規制案を公表した。準備資産の裏付けや償還手続き、資本・流動性要件を具体化し、預金保険の適用範囲も整理する。暗号資産分野の制度整備を進める一環となる。
ブロックチェーンメディアのCoinpostによると、今回の規制案は、ドナルド・トランプ大統領が署名したGENIUS Actを受けた後続措置に当たる。発行体に求めるリスク管理や資本規律の詳細を定めた。
規制案では、発行体が満たすべき健全性基準を細かく示した。準備資産の裏付けや償還の枠組みを厳格化したほか、ステーブルコイン関連のカストディサービスを手掛ける預金取扱金融機関(IDI)についても別途要件を設け、銀行に求められる役割と責任を明確にした。
預金保険の適用範囲も見直した。規制案は、ステーブルコイン自体は連邦預金保険の対象外と明記する一方、要件を満たしたトークン化預金については通常の預金と同様に扱うとした。あわせて、準備資産として保有される預金に対するパススルー保険の適用基準も具体的に示した。
営業・マーケティング面での規律も盛り込んだ。トークン保有そのものに利息や収益が付くかのような表示や勧誘は、原則として制限される。
要件は資本規制だけにとどまらない。運営の安定性を確保する措置として、前年度の営業費用を基準とする運営上のバッファー資本の維持を求めた。時価総額500億ドル(約7兆5000億円)以上の大手発行体には、年次監査も義務付ける。
今回の規制案は、FDICが昨年12月、IDIが子会社を通じてステーブルコイン発行の承認を申請する際の手続きを整備したのに続く措置となる。伝統的な金融機関の参入が広がる中、当局はステーブルコイン規制の全体像をより明確にする姿勢を示した。
FDICは、連邦官報への掲載後に60日間の意見募集を実施する予定で、対象項目は計144に上る。同時に米上院では、ステーブルコインの利息性に影響する可能性がある「クラリティ法案」の議論も続いており、銀行業界と暗号資産業界の立場の違いをどう調整するかが焦点となる。