予測市場の用途は投機から意思決定基盤へと広がりつつある。写真=Shutterstock

ブロックチェーン上の予測市場を、単なる投機やベッティングの場ではなく、意思決定を支えるインフラとして活用すべきだとの提案が出ている。Cointelegraphが7日(現地時間)に、Sentoraの共同創業者兼最高技術責任者(CTO)ヘスス・ロドリゲスの寄稿内容を報じた。

ロドリゲスは寄稿の中で、現在の予測市場について「デジタルカジノにとどまっている」と指摘した。将来を予測する機能はあっても、その結果が実際の意思決定に十分結び付いていないという問題意識を示した格好だ。

同氏が軸に据えるのは、経済学者ロビン・ハンソンが提唱した「Futarchy」の考え方だ。これは「価値は投票で、事実はベッティングで決める」という原則に基づき、あらかじめ目標指標を定めた上で、予測市場が最も高い成果を見込む政策を選ぶガバナンスモデルを指す。

中核技術として挙げたのが「条件付き市場(Conditional Market)」だ。単に資産価格を予測するのではなく、特定の意思決定を実行した場合にどのような結果が生じるか、その確率をリアルタイムで価格に反映させる仕組みだという。

例えば、DAOがマーケティング予算の執行可否を判断する場面では、PASSとFAILの派生トークンを発行し、市場参加者がそれぞれの結果に賭ける。時間加重平均価格(TWAP)で優勢となった結果を、スマートコントラクトが自動的に実行する想定だ。ロドリゲスはこれを「数学が政治に取って代わる」と表現した。

この仕組みを機能させるには、「流動性カーネル」「コンテキスト・ミドルウェア」「実行API」という3つのオンチェーン基盤が必要になると説明した。自動マーケットメイカー(AMM)が流動性を供給し、楽観的オラクルとゼロ知識証明(ZKP)が現実世界のデータを検証し、その結果を受けてスマートコントラクトが自動執行する構成を想定している。

用途はガバナンス領域にとどまらない。DeFiのレンディングプロトコルでは、担保価値の急落確率をリアルタイムで価格に織り込み、LTVを自動調整する使い方が考えられるという。物流企業であれば、APIを1回呼び出すだけで港湾ストライキの発生確率を照会し、輸送ルートを自動的に組み替えることも可能だとした。

さらに、人工知能エージェント同士で判断が割れた場合には、人間の委員会に代わって予測市場ベースの仕組みが仲裁役を果たす可能性にも言及した。

ロドリゲスは、流動性やオラクルの基盤はすでに整いつつあるとした上で、「予測市場がテストネットの段階を脱しつつあるなら、次に進む先はインフラレイヤーだ」と強調した。

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