画像=Beauty Kurly、A Luxus、MUSINSA Beautyの各アプリ画面

国内の主要EC事業者が、美容カテゴリーへの投資を加速している。食品やファッション、生活用品で築いた会員基盤と物流網を活用し、新たな成長ドライバーとして育成する動きが広がっている。

業界によると、CoupangやKurly、MUSINSAなどの主要ECプラットフォームは、従来の主力分野から美容領域へと事業を広げている。先行する企業は高級ブランドやインディーブランドの取り込みを進め、後発組はオフライン接点の拡大などを通じて足場固めを急いでいる。

EC各社が美容事業に注力する背景には、既存インフラを活用しやすい点がある。フルフィルメントやクイックコマースで培った物流基盤に加え、既存会員を抱えるプラットフォームは、比較的低い初期負担で参入しやすい。

KurlyとCoupangは、会員制度と自社フルフィルメントを生かして美容領域に参入した代表例だ。Kurlyは2022年11月に「Beauty Kurly」、Coupangは2024年10月に「A Luxus」をそれぞれ立ち上げた。いずれも既存の主力事業とは別に、特定分野に特化したバーティカル型サービスとして運営している点が共通している。

また、Kurly MembersやWow Membershipといった会員向けサブスクリプションの特典を通じて、各サービスの囲い込み効果も高めている。

Kurlyは美容事業を、主要顧客層の深耕と潜在顧客の獲得に向けた中核領域と位置付けている。2022年の年間売上高は2兆372億ウォンで、初めて2兆ウォン台に乗せた。

特に美容カテゴリーは、Market Kurlyに比べて平均販売単価(ASP)が約3倍とされる。Market Kurlyの商品との同梱配送によって、注文当たりの収益性向上にもつなげているという。

Kurlyはアプリ内でMarket KurlyとBeauty Kurlyを同時に展開し、同梱配送の効果を最大化する戦略を取っている。

Coupangは専用アプリを投入し、A Luxusをラグジュアリービューティーのプラットフォームとして育成している。立ち上げ時にはEstee Lauder、Sulwhasoo、Biotherm、The History of Whooなどの高級ブランドを直仕入れで展開した。

足元では、A Luxusで高価格帯のプレミアムブランドの拡充にも力を入れている。先月末にはFrederic MalleやKilian Parisなどのニッチフレグランスブランドを導入した。

MUSINSAやZigzag、ABLYといった主要ファッションプラットフォームも、美容を重点拡大領域と位置付けている。MUSINSAはオンラインでの成長に続き、オフライン店舗の拡大を加速しており、自社のオンライン・オフラインチャネルを「MUSINSA Beauty」拡大の基盤として活用している。

MUSINSAは今月中にも、美容事業拡大に向けた採用に着手するなど、組織体制の強化を進める。

同社によると、MUSINSA Beautyの2025年の取引額は前年比で50%超増加した。今月中には「MUSINSA Mega Store Seongsu」内に700以上のブランドを集積した大規模なビューティーゾーンを設ける予定だ。

下半期には、ソウルの聖水や弘大など主要商圏を中心に、美容に特化したセレクトショップを単独で出店し、オフライン市場の開拓を本格化する。

Zigzagの美容カテゴリーも、2022年の立ち上げ以降、成長が続いている。Zigzagに出店する美容ブランド数は、2022年の約200から2024年末時点で約2000へと10倍以上に増えた。

同社によると、美容カテゴリーの取引額は2024年に前年比133%増、2025年も約50%増となった。

Zigzagは美容ブランドとの協業を通じ、独占商品を確保する「Zigzag Only」の拡大も進める計画だ。Zigzagによると、「Zigzag Only」で単独ローンチに参加したブランドの多くは、取引額が最大37倍超に伸びたという。

今後は、Zigzagでのみ扱う独占商品や先行発売商品の拡充を通じて、競争力を高める方針だ。

Zigzagの関係者は「足元ではプラットフォーム間の美容競争が激しくなっている」とした上で、「主要顧客層のニーズに合う幅広い商品群を確保し、独占商品や先行発売商品など、Zigzagならではの差別化を強めている」と説明した。

美容カテゴリーの成長が続くなか、プライベートブランド(PB)の立ち上げも増えている。MUSINSAは自社の美容ブランドとしてMusinsa Standard Beauty、Oddtype、WITZEE、Notherubを展開しており、2025年のPB美容ブランド取引額は前年比120%増となった。

Kurlyも2025年末、PB立ち上げに向けた人材確保や商標出願を進めた。

一方で、美容事業を巡る競争の激化は避けられない見通しだ。業界では、美容市場はすでに既存ブランドの定着が進んでおり、後発のEC企業が差別化を図るのは容易ではないとの見方が出ている。

オンライン美容市場では圧倒的な首位企業が定まっていない一方、市場分析の難しさも指摘されている。

美容カテゴリーを運営するあるEC事業者の関係者は、「美容市場は需要の大きさが確認されており、参入企業は今後も増える可能性が高い」と話す。その上で「EC各社の美容参入からまだ時間が浅く、関連指標の開示を控える企業も多い。今後の成長局面では、オフライン店舗や割引特典を通じた顧客獲得競争が激しくなる可能性もある」と述べた。

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