ジェイミー・ダイモン氏。写真=Flickr

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は年次株主書簡で、地政学リスク、各国の債務問題、金融市場の構造的な脆弱性が重なり、世界経済の不確実性が高まっていると警告した。見かけ上は安定していても、ひとたび衝撃が生じれば大きく揺らぎかねない局面にあるとの認識を示した。

6日付のブロックチェーン専門メディアCryptopolitanによると、ダイモン氏はまず地政学を主要リスクに挙げた。ロシア・ウクライナ戦争に加え、イランを巡る中東情勢の緊張がエネルギー価格の変動を強めていると分析。両紛争の行方は2026年の世界経済秩序にも影響し得るとして、適切な解決の必要性を強調した。

米中関係についても、世界経済の方向性を左右する重要な変数だと指摘した。貿易を巡る対立は今年の不確実性を一段と高める可能性があるとし、関税の短期的な影響自体は限定的でも、世界のサプライチェーンや貿易秩序の再編を促す点で長期的な波及は大きいとの見方を示した。

財政面では、世界の債務問題が極めて高い水準に達していると指摘した。危機の回避には経済成長が重要だとした上で、米国では金利低下と3%程度の成長率が組み合わされれば、債務負担の緩和につながる可能性があると説明した。

金融市場については、資産価格の高止まりと信用スプレッドの低水準が、かえってリスク要因になり得ると警戒した。バリュエーションが高く、スプレッドが狭い局面では、小さなショックでも売りの連鎖に発展しやすいという。特に、プライベートクレジットやプライベートファンド市場の急拡大については、表面上の安定とは裏腹に、市場に内在する脆弱性を強めていると分析した。

対応策としては、「Security and Resilience Initiative」を通じ、今後10年間で約1兆5000億ドルを投資し、経済安全保障と産業のレジリエンスを強化する方針を明らかにした。重点分野には、サプライチェーン、高度製造、国防・航空宇宙、エネルギー自立、戦略技術(人工知能、サイバーセキュリティ、量子コンピューティング)、製薬・ヘルスケアを挙げた。

ダイモン氏は、見かけの安定に安住すべきではないと強調した。複数のリスクが同時に顕在化すれば、世界経済は想定を上回る衝撃を受ける可能性があるとして、備えの必要性を訴えた。

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