SpaceX、OpenAI、Anthropicの大型IPO観測が相次いで浮上している。3社の企業価値を合計すると約2兆9000億ドル(約435兆円)に達し、高い評価額を前提とした大量の新規株式を公募市場が吸収できるかが最大の焦点となっている。
6日付のブロックチェーン系メディアBeInCryptoによると、最も先行しているのはSpaceXだ。同社は4月初旬、米証券取引委員会(SEC)に非公開で予備審査書類を提出し、6月の上場を目指して準備を進めているという。
市場では、同社の企業価値が最大1兆7500億ドル(約262兆5000億円)に達し、約750億ドル(約1兆1250億円)を調達する可能性が取り沙汰されている。実現すれば、2019年のSaudi AramcoのIPO実績の2.5倍超となり、過去最大規模になるとの見方が出ている。
OpenAIとAnthropicも上場のタイミングを模索している。OpenAIは2026年10〜12月期または2027年1〜3月期の上場を目標にしているとされ、企業価値は1兆ドル(約150兆円)規模が取り沙汰される。Anthropicについても、2026年10〜12月期の上場観測が浮上している。
投資銀行業界では、Anthropicが600億ドル(約9兆円)超を調達する可能性があるとの見方も出ている。
最大の懸念は、こうした大型案件が短期間に集中した場合の供給ショックだ。分析筋は、3社が近い時期に上場した場合、単一四半期のIPO市場で4320億〜5760億ドル(約64兆8000億〜86兆4000億円)の資金吸収が必要になる可能性があるとみている。これは過去10年(2016〜2025年)の米国IPO全体の調達額に匹敵する水準で、需給面の負担は避けられないとの指摘がある。
投資家にとってのリスクは、最終的に誰が高値で買わされるのかという点だ。初期投資家がすでに大きな利益を確保している一方で、一般投資家が高いバリュエーションを引き受ける構図になりかねないとの懸念がある。
実際、MicrosoftのOpenAI投資は、約130億ドル(約1兆9500億円)から2280億ドル(約34兆2000億円)規模へと価値が膨らんだと推定されている。ベンチャー投資の一部でも、数十倍のリターンを得た事例があるとされる。
財務面も重要な変数だ。OpenAIは2026年だけで約140億ドル(約2兆1000億円)の損失が見込まれており、黒字化は2029〜2030年ごろになるとの見方が示されている。社内でも、上場準備はなお十分ではないとする慎重論が出ていると伝えられている。
どの企業が先に市場に出るかも焦点の1つだ。OpenAIは先行上場を望んでいるとされる一方、市場ではAnthropicの方が安定した成長ストーリーを描きやすいとの評価もある。
Anthropicは、年間換算の売上高が90億ドル(約1兆3500億円)から190億ドル(約2兆8500億円)へ、4カ月足らずで2倍に拡大したという。売上高の約80%は企業顧客向けが占めるとされる。
もっとも、Anthropicも依然として赤字だ。SECがクラウドコンピューティングのクレジットに関する売上計上方法の見直しを求めた場合、上場前の財務指標が変動する可能性もある。
今回のIPO観測は、個別企業の上場案件にとどまらず、世界の資本市場の流動性と投資家心理を試す大型イベントになる可能性がある。市場がこの供給を消化できるのか、そして最終的に高い価格を引き受けるのが誰になるのかに注目が集まっている。