AI普及で増加する超大型データセンター。周辺の気温上昇が懸念されている。写真=Shutterstock

人工知能(AI)の普及に伴ってハイパースケールデータセンターの新増設が進む中、施設からの排熱が周辺の気温を押し上げる影響は、従来想定されていた以上に大きい可能性がある。ケンブリッジ大学の研究チームは、過去20年にわたる世界6000超の拠点を分析した結果、稼働後の周辺地表面温度が平均で約2度上昇し、地域によっては約9度に達したケースも確認されたとした。

TechRadarが6日(現地時間)に伝えた。研究チームは、ハイパースケールデータセンターを巡っては電力消費や温室効果ガス排出が注目されがちだが、局地的な熱環境への影響も無視できないと指摘している。

研究を主導したケンブリッジ大学のアンドレア・マリノニ氏のチームは、過去20年間の温度データを用いて、世界のハイパースケールデータセンター6000超の拠点を調査した。分析では、地球温暖化の長期トレンドや季節変動、地域ごとの要因を考慮し、施設稼働後の温度変化を切り分けて検証したという。

その結果、データセンター近隣の地表面温度は平均で約2度上昇した。上昇幅は施設内にとどまらず周辺にも広がり、最大で6.2マイル(約9km)先まで影響が及ぶ可能性があるとした。人口分布データと照合したところ、北米、欧州、アジアでは3億4000万人超がこうした温度上昇の影響を受ける地域に居住していることも分かった。

地域別の事例としては、メキシコのバヒオとスペインのアラゴンで、周辺地域とは異なる温度上昇パターンが観測された。研究チームは、こうした差異について、他の環境要因よりもデータセンター自体の発熱との関連性が高い可能性があるとみている。

マリノニ氏は「データセンターの影響を巡る理解には、なお大きな空白がある」と指摘し、これまで排熱による影響は相対的に見過ごされてきたと強調した。その上で、「計画されているデータセンターの規模拡大は、社会に劇的な影響を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らした。

一方、専門家の間では、今回の結果には局地的に温度が大きく上昇した事例も含まれており、結論の確定には追加検証が必要だとの見方も出ている。ただ、気候変動を巡る議論が排出量や電力消費に集中する中、エネルギー多消費型のAI運用が「熱」という物理的な形で周辺地域の負荷を高める可能性が改めて浮き彫りになったとの評価もある。

研究チームは、AIの普及を支えながら追加的な熱ストレスを抑えるには、データセンターの設計や運用戦略の見直しが必要だとしている。

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