Anthropicが、社内コミュニケーション基盤のSlack上で、ダリオ・アモデイCEOを含む経営陣に対しても社員が公開の場で異論を示し、議論できる企業文化を育てていることが分かった。Business Insiderが6日(現地時間)、報じた。
報道によると、ポッドキャスト「Lenny's」に出演したアモル・アバサレ氏は、同社では社員に「ダリオと議論する」ことを奨励していると語った。
同氏は、Anthropicが全社員に個別のSlackチャンネル「notebook」を設け、それを社内に公開していると説明した。社員はCEOを含め、自身が抱える課題意識や進行中の業務を、このチャンネル上でX(旧Twitter)のタイムラインのように共有しているという。
アバサレ氏は、「研究組織のnotebookチャンネルをはじめ、複数のチャンネルに入れば、知りたいことはほぼ何でも学べる」とも述べた。
こうした開放的な仕組みは、経営陣への率直な異論にもつながっている。アバサレ氏によると、全社会議でアモデイ氏の発言に同意しなかった社員が、会議直後にアモデイ氏のnotebookチャンネルへ「その言い方はよくなかった」といった趣旨の投稿を行ったケースもあった。
この投稿をきっかけに議論が起きたが、会社としては、リーダーシップに異論がある場合はオープンに示す姿勢をむしろ歓迎しているという。アバサレ氏は、こうした運営が最終的には組織内の信頼を高めるとの見方も示した。
階層構造を薄め、問題提起とコミュニケーションのスピードを高めようとする動きは、Anthropicに限ったものではない。Airbnbのブライアン・チェスキーCEOやNetflix共同創業者のリード・ヘイスティングス氏も、社員による積極的な発言や意思決定の過程で異論を交わす重要性を訴えてきた。
Teslaのイーロン・マスクCEOが2018年、社員宛ての書簡で「コミュニケーションは指揮命令系統ではなく、仕事を完了させるための最短経路で行うべきだ」と示したことも、同様の事例として紹介された。
Anthropicが重視しているのは、単なる「自由な雰囲気」ではない。情報共有と異論の提示を組織運営の中核に据え、経営陣の判断にも公開の場で意見をぶつけられる環境を整えることで、学習のスピードと意思決定の質を同時に高めようとしているとみられる。
もっとも、こうした文化が実際の競争力につながるかどうかは、開放性そのものではなく、提起された論点を会社がどこまで責任を持って検討し、実際の判断に反映できるかにかかっている。階層を薄くした組織ほど、発言の自由に加え、議論の基準と実行力が問われることになりそうだ。