サム・アルトマン氏(写真=Shutterstock)

OpenAIのサム・アルトマンCEOは、超知能級の人工知能(AI)が理論段階を超え、すでに経済活動全体へ急速に浸透し始めているとして、米国の政策当局に先回りした対応を求めた。

ブロックチェーン関連メディアのCoinDeskが6日(現地時間)に報じた。アルトマン氏はAxiosのインタビューで、AIは生産性を大きく押し上げる一方、サイバーセキュリティと生物分野で新たなリスクを広げかねないと警告した。

同氏によれば、AIはすでに、これまで複数の開発者が分担していたコーディングやリサーチ業務の一部を肩代わりしている。今後のモデルは科学的発見を後押しし、個人でもチーム単位の仕事をこなせる水準に近づくとみている。さらに「2026年のプログラマーの働き方は、1年前とはまったく異なるものになっている」と強調した。

脅威が最も早く表面化する分野として挙げたのがサイバーセキュリティだ。ハードウェアウォレット企業LedgerのCTO、チャールズ・ギレメ氏は、AIツールによってソフトウェアの脆弱性探索や悪用にかかるコスト、参入障壁が大きく下がっていると指摘した。従来は数カ月を要したリバースエンジニアリングや複合脆弱性の分析も、数秒で済む可能性があるという。

CoinDeskは、昨年の暗号資産業界におけるハッキングなどの被害額が14億ドル(約2100億円)を超えたと伝えた。ギレメ氏は、被害がさらに拡大する恐れがあると警告。開発者のAI生成コードへの依存が強まるほど、新たな脆弱性が大規模に持ち込まれる可能性もあると述べた。

対策としては、数学的検証を経たコードの採用に加え、秘密鍵をオフラインで保管するハードウェアセキュリティ、システム障害を前提とした設計の重要性を訴えた。

アルトマン氏は、AIが持つ両面性にも言及した。AIは新薬開発や材料科学の革新を前倒しする可能性がある一方で、より高度なサイバー攻撃や危険な生物研究への参入障壁も下げかねないという。「生物学に非常に強いオープンソースAIモデルが登場する時期は遠くない」としたうえで、「テロ組織がそれを使って新たな病原体の開発を試みる事態への備えは、もはや仮定の話ではない」と語った。

また、今年中にも世界を揺るがす規模のサイバー攻撃が起きる可能性に触れ、抑止には先手を打った大規模な対応が必要だと強調した。

一方、OpenAIの国有化の可能性については懐疑的な見方を示した。米国は競合国に先んじ、民主的価値に沿った形で超知能を開発すべきだと主張する一方、政府による直接統制よりも民間との協力が重要だと線引きした。

AIの将来像についても見通しを示した。AIは電気のようなユーティリティとして定着し、さまざまな機器に標準搭載されていくと予想。その一方で、基礎的な知能のコストは下がる半面、最上位システムは高コストのままとなり、低価格帯と高価格帯に分かれる構造が生まれる可能性があるとした。

同氏は「クラウド基盤の個人向けスーパーアシスタントが登場する」とも述べ、料金体系は利用量に応じて月額が変動する形になる可能性を示した。

キーワード

#OpenAI #サム・アルトマン #AI #超知能 #サイバーセキュリティ #生物リスク #CoinDesk #Axios #Ledger
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.