KT光化門Westビルの外観(写真=KT)

KTは新代表体制の発足に合わせて組織再編と役員人事を実施し、AI戦略の軸足をB2B向けAXに移した。研究開発体制を見直して「AX未来技術院」を新設したほか、「AX事業部門」も立ち上げ、企業向けAI事業の強化に乗り出す。

KTは3月31日、パク・ユンヨン代表の選任直後に組織再編と役員人事を断行した。人事刷新と組織効率化を通じて、「AXプラットフォーム企業」への転換を加速する構えだ。

これに先立ち、AI戦略を担ってきた主要幹部の離脱も相次いでいた。オ・スンピル最高技術責任者(CTO)やペ・スンミンAIフューチャーラボ長などの中核人材が退社。1月には、シン・ドンフン前最高AI責任者(CAIO)がNC AIへ移った。さらに、ユ・ソボンAX事業本部長、ユン・ギョンアエージェンティックAIラボ長も退社したとされる。

今回の再編で、KTは研究開発(R&D)組織を「AX未来技術院」に再編した。あわせて「AX事業部門」を新設し、B2B向けAX分野での競争力強化と成長加速を図る。会社側は、次世代技術の開発体制を強化し、差別化したAI技術の確保に注力すると説明している。

業界では、今回の見直しの背景に、これまでKTが進めてきたAI戦略の限界があるとの見方が出ている。前任のキム・ヨンソプ代表体制で掲げた、通信とIT、AIを組み合わせた「AICT企業」への転換は、成果面で期待に届かなかったとの評価が強い。

その一例として挙がるのが、政府主導の独自AI基盤モデル事業だ。競合各社が技術力を評価されて精鋭チーム入りする一方、KTは予選を通過できなかった。

自社の大規模言語モデル(LLM)「ミッ:ウム」についても、市場の反応は当初の期待を下回ったとの見方がある。Microsoftとのパートナーシップも、協業初期に比べて期待感が薄れているという。

こうした中、パク・ユンヨン体制はAI事業戦略の重心を企業間取引(B2B)のAIトランスフォーメーション(AX)に移している。パク代表は就任直後の社内書簡で、「KTを韓国ネットワークの現在と未来を担う国家基幹通信事業者であり、AI時代をリードするAIプラットフォームカンパニーへ発展させる」と強調した。

新設したAX未来技術院とAX事業部門のトップ人事にも、その方向性が表れている。AX未来技術院長に内定したチェ・ジョンギュLG AI研究院エージェンティックAIグループ長(常務)は、LG AI研究院の超大規模AI「EXAONE」の開発を主導した人物だ。

チェ氏は昨年、EXAONEの開発とオープンソース公開などを通じたAIエコシステム拡大への貢献が評価され、科学技術情報通信部から銅塔産業勲章を受章した。業界では、AIモデル開発の成功事例を取り込む人選だとの受け止めが広がっている。

一方、AX事業部門長として迎えたパク・サンウォン専務は、Samjong KPMGコンサルティングの代表出身だ。KTは、AX専門家グループを構築し、国内の公共・企業顧客のAX転換を主導することで、市場での地位拡大を目指すとしている。

KTはパク専務の起用理由について、「グローバルプラットフォーム企業との協業や大型AXプロジェクトを多数率いてきた経験を持つ」と説明した。

業界では、KTが今回の再編でB2Bに経営資源を集中させたとの見方もある。ある業界関係者は「選択と集中の色合いが濃い組織再編ではないか。独自AI基盤モデル事業からの脱落で得た教訓は小さくなかったはずだ」と話す。

一方で、課題として指摘されるのが技術リーダーシップの空白だ。別の業界関係者は「AI技術の開発体制をどれだけ早く立て直せるかが鍵になる」としたうえで、「『ミッ:ウム』も市場が認める大型のリファレンスを確保しなければならない」と述べた。

この関係者は特に、「ミッ:ウムK 2.0」の開発を主導したシン・ドンフンCAIOが退社した状況だけに、新たな成長エンジンの確保が必要だと指摘する。

同関係者は「パク・ユンヨン体制のAI事業の成否は、どれだけ早くB2Bで成果を出せるかにかかっている。新たに迎えた人材の役割が重要になる局面だ」と話した。

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