画像はイメージ(ChatGPT生成)

ウォール街の暗号資産エクスポージャーが過去最大水準に拡大する一方で、実際に誰がどれだけ保有し、どのような目的で資金を投じているのかは、なお見通しにくい――。こうした実態を分析した内容を、ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが4日(現地時間)に報じた。

分析では、米証券取引委員会(SEC)の13F開示、企業財務諸表、トークン化資産の動向、カストディ構造、オンチェーン上のOTC(相対取引)フローなどをもとに、ウォール街の暗号資産保有の実像を追った。

焦点となるのは保有総額そのものではなく、保有主体と保有手段の内訳だ。BlackRockは2026年の会長書簡で、デジタル資産連動の運用資産(AUM)が約1500億ドル(約22兆5000億円相当)に達したとしている。

上場企業の財務諸表に計上されたビットコイン保有量は、2026年3月末時点で計113万4324BTCだった。機関投資家によるビットコイン現物ETFの保有量も、51万3000BTCを超えたと集計された。

ただ、ETFへの資金流入がそのまま現物の長期保有や強気の投資判断を意味するわけではない。こうした数値はあくまで合算ベースであり、保有主体や資金の性質までは読み取れないという。

典型例がSECの13F開示だ。どの機関がどのETFを保有しているかは確認できるものの、その資金が長期投資なのか、裁定取引に基づくポジションなのかまでは判別しにくい。

実際、2025年10〜12月期にはビットコイン価格が約23%下落したにもかかわらず、世界のビットコイン現物ETFには37億ドル(約5550億円)の純流入が続いた。一方で、開示対象となった機関数は2173から1867に減少した。

この動きは、機関投資家の資金が一様に後退したというより、投資主体の入れ替わりが進んだ可能性を示す。同期間には、ヘッジファンドが現物ETFの買いとCME先物の売りを組み合わせる「ベーシス取引」を活用していたが、スプレッド縮小とレバレッジ低下を受け、エクスポージャーは約10%減少したという。

ETF以外では、企業の直接保有で戦略の違いがより鮮明に表れる。Strategyは約76万2000BTCを保有しているとされる一方、Trump Media & Technology Groupは保有するビットコインの一部を担保に供し、保有残高が減少した。

採掘企業のMarathon Digital Holdings(MARA)は1万5000BTC超を売却し、負債返済に充てた。企業ごとに保有目的や運用方針が異なり、同じ「保有」でも中身は大きく異なることが分かる。

ウォール街の暗号資産エクスポージャーは、トークンを直接保有しない形でも広がっている。BlackRockのトークン化マネーマーケットファンド「BUIDL」は数十億ドル規模に成長し、分散型金融(DeFi)との接点も強まっている。

オンチェーンデータプラットフォームのRWA.xyzによると、トークン化された米国債の規模は126億ドル(約1兆8900億円)を超え、実物資産に裏付けられたRWA市場の約半分を占めた。

エクスポージャー拡大に伴って、主要なリスクとして浮上しているのがカストディの集中だ。記事では、Coinbaseが米国のビットコイン・イーサリアム現物ETF資産の80%超を保管していると指摘した。

複数のETFが同じカストディアンを利用する構造では、サイバー事故やシステム障害が発生した場合、その影響が市場全体に波及しかねない。

さらに大きな死角は、制度開示の外側にある。13Fは一定規模以上の米国機関投資家にしか適用されず、ファミリーオフィスや海外法人、ブローカー口座を通じた投資資金は捉えきれない。

こうした空白は、オンチェーンデータによって一部補完できる。OTCデスクを通じた大口資金の移動や、ラベルの付いていないウォレットのフローから非開示保有の輪郭は見えてくるが、全体像の把握はなお難しいという。

ウォール街の暗号資産市場への参加は急速に拡大している。ただ、開示データとオンチェーンデータの間になおギャップが残る以上、「誰がどれだけ保有しているのか」という根本的な問いに、明確な答えは出ていないとBeInCryptoは分析している。

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