写真=Strategy

Strategyが、同じビットコイン(BTC)保有を裏付けとしながら、性格の異なる2つの投資商品を同時に拡大している。普通株「MSTR」は値上がり益を狙うレバレッジ型、永久優先株「STRC」は月次配当を軸とする収益型という位置付けで、投資家層や資金調達面での役割も大きく異なる。

3日付けのBeInCryptoによると、StrategyはMSTRとSTRCを通じて、それぞれビットコイン価格の上昇を取り込む商品と、配当収入を重視する商品を提供している。

同社のビットコイン保有量は76万2099BTC。平均取得単価は約7万5694ドルで、保有価値は約510億ドル(約7兆6500億円)に達する。裏付け資産は同じでも、投資家が引き受けるリスクと期待するリターンの形は大きく異なる。

MSTRは、ビットコイン価格の変動が株価に増幅されやすい高ボラティリティ銘柄だ。Strategyが株式や負債の発行で資金を調達し、その資金でビットコインを追加購入する構造が背景にある。上昇局面ではビットコインを上回る値動きが期待でき、記事では1.5〜3倍のパフォーマンスが見込める局面もあるとした。一方で、下落局面では損失も膨らみやすい。配当はなく、増資などに伴う希薄化も投資家負担となる。

実際、MSTRは4月2日に119.13ドルで取引を終えた。直近6カ月では約56%下落し、52週高値の457.22ドルから74%安の水準にある。

これに対しSTRCは、値動きではなく安定収益を前面に出した商品だ。2025年7月に上場した永久優先株で、毎月現金配当を支払う。株価が額面の100ドル近辺で推移するよう配当利回りを調整する仕組みを採る。Strategyは4月の配当利回りを11.5%に据え置いたと発表した。設定以来7カ月連続で引き上げた後、初の据え置きとなる。

配当調整のルールも開示している。STRCの30日出来高加重平均価格(VWAP)が95ドルを下回った場合、取締役会は配当を少なくとも50bp(0.5ポイント)引き上げるよう勧告できる。99〜101ドルのレンジでは据え置き、101ドルを上回る場合は引き下げ余地が生じる。ビットコインの大きな値動きを直接負わず、月次の配当収入を重視する設計といえる。

4月2日のSTRCは100ドルで変わらず。52週レンジも88.00〜100.42ドルに収まり、値動きは限定的だった。年初来リターンは約4%で、その大半を配当が占めるという。

投資家層にも違いがある。StrategyのCEO、フォン・レは3月、「STRC保有者の約80%が個人投資家である一方、MSTR普通株の個人投資家比率は約40%」と説明した。ビットコイン擁護論者のハルストン・バレンシアも、MSTRはビットコインへの強い確信を前提にレバレッジを求める投資家向け、STRCはビットコインを支持しつつも価格変動より安定収益を重視する投資家向けだと整理している。

外部アナリストの見方もおおむね一致する。Benchmark-StoneXのマーク・パーマーは、MSTRを「レバレッジとして機能する無配当のビットコイン・プロキシ」と位置付け、リスク許容度の高い投資家に適すると評価した。一方、STRCについては、予測しやすい収益とビットコインによる超過担保構造を強みとして挙げた。

STRCの存在感が増しているのは、資金調達手段としての役割だ。Strategyは総額420億ドル(約6兆3000億円)のATMプログラムを発表しており、MSTRとSTRCの発行を半分ずつ活用して、ビットコイン保有目標である100万BTCに向けた追加購入を進める方針を示している。

3月には、STRCの発行が11億8000万ドル(約1770億円)規模のビットコイン購入(約1万6800BTC)を支えた。一方、MSTR普通株の発行で調達した資金は3億9600万ドル(約594億円)にとどまった。同じビットコインへの強気姿勢を前提にしながらも、商品設計は「成長(レバレッジ)」と「所得(配当)」に分かれている点が今回の比較のポイントだ。

同じビットコイン保有を基盤としていても、投資家が直面する値動きや収益機会は大きく異なる。StrategyはMSTRで値上がり益を狙う需要を取り込み、STRCで月次配当を求める需要に応えている。共通の裏付け資産を持ちながら、成長志向と安定収益志向の両方に商品を分けていることが、同社戦略の中核となっている。

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