人工知能(AI)の普及で雇用減への懸念が強まる一方、企業ではAIの運用・管理を担う人材の採用が拡大している。LinkedInやIndeedの分析によると、AI関連求人の比率は上昇しており、「Head of AI」や「データアノテーター」といった職種の需要が目立って伸びている。
米オンラインメディアのGIGAZINEは3日(現地時間)、Wall Street Journal(WSJ)やLinkedIn、Indeedの分析を基に、既存業務の一部がAIに置き換わるとの不安が広がるなかでも、企業はAIを管理・運用する専任人材の確保を進めていると報じた。
LinkedInが2023年から2025年までの採用データを分析したところ、米国のホワイトカラー職を中心に、AI関連で64万件の採用があった。AI関連求人が全体に占める比率も、2023年の1.6%から2025年には3.4%へと2倍超に拡大した。
LinkedInの経済部門責任者、コリ・カンティンガ氏は、AI関連職種について「労働市場全体の流れを変えるほどではない」としつつ、「着実に増加している」と述べた。
職種別では、「Head of AI」の伸びが目立つ。2023年から2025年にかけての採用件数は22万5000件だった。
AI学習用データを点検し、画像やテキスト、音声にラベルを付与する「データアノテーター」の需要も大きい。採用件数は31万2000件に上った。企業がAIの導入段階にとどまらず、常時運用や品質管理を担う機能を整え始めていることを示している。
現場でも同様の見方が出ている。AI人材派遣会社micro1の最高経営責任者(CEO)、アリ・アンサリ氏は、AIアノテーターの需要が爆発的に増えていると語った。
報道によると、micro1は2022年設立の企業だが、すでにパートタイムのデータアノテーターを数万人規模で雇用している。アノテーターにはジャーナリズムや金融など幅広い分野の人材が含まれ、平均時給は約70ドルだという。
もっとも、AI人材需要が労働市場全体に広がっているとみるには早い。Indeedの分析では、全企業の1%がAI関連求人の90%を占めており、需要が一部企業に集中している実態が示された。
それでも、AI関連求人を出す企業の比率は2018年の2%から2025年には6%へと上昇した。Indeedのエコノミスト、コリ・スター氏は「企業がAIを管理するために専任社員をどの程度必要とするのかは、なお明確ではない」としたうえで、「まだ初期段階にある」と述べた。