画像=Com2uS「桃源暗鬼 クリムゾン・インフェルノ」

Com2uSが、日本の人気IPを活用した新作ゲーム3作品の展開を進めている。いずれも原作段階から海外ファン層を持つタイトルで、外部IPを新たな成長ドライバーとし、中長期の事業基盤拡大につなげる狙いとみられる。

業界関係者によると、Com2uSが開発中の日本IP原作の新作は、「桃源暗鬼 クリムゾン・インフェルノ」「Gachiakuta: The Game(仮題)」「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す」(以下、Aランクパーティ)の3作品。いずれも3月28日〜29日に東京ビッグサイトで開かれた「AnimeJapan 2026」に出展し、グローバルのファン層に向けて訴求した。

このうち、最も早い投入が見込まれるのが「桃源暗鬼 クリムゾン・インフェルノ」だ。テレビアニメ「桃源暗鬼」を原作とするターン制RPGで、原作漫画の発行部数は550万部を突破。テレビアニメはNetflixの世界非英語TVシリーズ部門で5位を記録した。Com2uSは2026年下半期の早い時期から中盤にかけてのリリースを目標に準備を進めている。

「Gachiakuta: The Game」は、講談社「週刊少年マガジン」連載作品を原作とするサバイバルアクションRPGで、PC・コンソール向けに2027年の発売を目指す。一方、AnimeJapanで初公開した「Aランクパーティ」は、ライトノベルからコミックス、テレビアニメへと展開したシリーズで、累計発行部数は180万部。現在はテレビアニメ第2期を制作中という。Com2uSは講談社とライセンス契約を結び、開発とグローバルパブリッシングを担う。3作品は、モバイル向けターン制RPGからPC・コンソール向けアクションRPGまで、ジャンルと対応プラットフォームを分けて展開する。

◆モバイル海外売上は3年連続減、外部IP戦略を強化

こうした動きの背景には、足元の業績推移がある。2025年の事業報告書によると、モバイルゲームの海外売上は2023年の4098億ウォンから、2024年は3851億ウォン、2025年は3489億ウォンへと3年連続で減少した。国内モバイル売上は同じ期間に1357億ウォンから1954億ウォンへ伸びたものの、ゲーム売上の過半を占める海外売上の落ち込みを補うには至らなかった。2025年の売上高は6964億ウォンで、前年の6939億ウォンから小幅な増加にとどまった。

Com2uSはこれまで「Summoners War」シリーズを収益の柱としてきた。ただ、グローバルのモバイル市場で自社IPの成長余地が鈍るなか、すでに海外にファン基盤を持つ外部IPを取り込み、ヒットの不確実性を抑える判断が、今回の外部IP拡大の背景にあるとみられる。

ナム・ジェグァン代表は2月12日の決算説明会で、「2026年は蓄積してきた経験と準備を実質的な成果につなげることに注力する」と述べ、「桃源暗鬼」「Gachiakuta」などグローバルIP原作の新作を2026年の重点課題に挙げた。既存の「Summoners War」と野球ゲーム群を安定収益基盤としつつ、外部IPで売上成長と収益性の改善を同時に狙う構えだ。

◆講談社との継続協業、ローカライズ、研究開発で実行体制を整備

戦略を支える実行体制の整備も進む。まず、日本市場向けのローカライズ体制だ。「桃源暗鬼 クリムゾン・インフェルノ」では、Com2uS Japanが日本市場で20年以上にわたり蓄積してきた知見を基にローカライズを進めている。3作品はいずれも日本のアニメ・漫画を原作としており、まずは日本のファンダムを主要ターゲットとし、その後グローバル展開につなげる設計だ。日本法人のネットワークが、その足掛かりになるとみられる。

IPパートナーとの関係強化も進めている。Com2uSは「Gachiakuta」に続き、「Aランクパーティ」でも講談社IPを確保した。講談社は「週刊少年マガジン」などを通じて世界的な知名度を持つ漫画・ライトノベルIPを多数抱える日本の大手出版社で、単発契約にとどまらず協業範囲を広げている点が注目される。

技術投資もこの戦略と直結する。2025年の事業報告書に記載された研究開発実績には、「桃源暗鬼LoRA学習モデルおよびキャラクター統合データセット構築」「Gachiakutaカスタマイズ制作ツール研究」「ディフュージョンモデルの組み合わせによるサブカルチャーキャラクター研究」「FMVサブカルチャーストーリー基盤の企画研究」など、アニメIPゲームの開発に直結する項目が並んだ。外部IPゲームの開発に生成AIを組み込み、制作効率と品質の両立を図る狙いがある。研究開発費は2025年に1363億ウォンと、前年の1190億ウォンから14.6%増加。営業収益に占める比率も17.1%から19.6%へ上昇した。

業界関係者は「ローカライズ、パートナーシップ、技術投資まで実行体制は整っている」とした上で、「最終的には各タイトルが原作ファンの期待に応える完成度を実現できるかどうかが、戦略全体の成否を左右する」と話した。

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