米大リーグ機構(MLB)が2026年シーズンから正式導入した自動ボール・ストライク判定システム(ABS)が、開幕直後から大きな注目を集めている。開幕から4日間で35試合に計124件のチャレンジが行われ、このうち67件で判定が変更された。変更率は54%に達した。
4月3日付のThe Vergeなど海外メディアによると、ABSは打者、投手、捕手がボール・ストライク判定に異議を唱えた際、複数カメラとHawk-Eyeの追跡技術を使って即時に再判定する仕組みだ。
チャレンジは1試合につき1チーム2回まで認められる。判定が覆れば回数は維持され、覆らなければ1回分を失う。要求できるのは打者、投手、捕手に限られる。
ストライクゾーンは選手の身長に応じて上端53.5%、下端27%に設定され、本塁板中央を基準に判定する。
導入初期のデータは、試合内容の変化も示している。1チーム当たりの平均四球数は、2025年の1試合3.1個から3.7個に増えた。ABSの導入に伴いストライクゾーンが前季に比べて約11%狭まり、際どい球がストライクになりにくくなったことが背景にあるとみられる。
一方、三振率は22.1%で、前季とほぼ同水準だった。
ポジション別では、捕手のチャレンジ成功率が最も高かった。捕手は58%で、打者の55%を上回った。Kansas City Royalsのサルバドール・ペレスは成功率71%を記録し、リーグ最多となる5件の判定変更を引き出した。New York Yankeesのオースティン・ウェルズは4回チャレンジして4回とも成功した。
チームごとの差も出ている。Baltimore Oriolesは7回のチャレンジのうち86%で判定を変更させ、リーグ最高の成功率を記録した。一方、New York Metsは2回のチャレンジで1度も判定を覆せなかった。
カウント別では、2-2でのチャレンジが27件と最も多かった。期待得点の変動幅が大きい場面を、選手が本能的に見極めている可能性を示している。
もっとも、ABSが試合テンポに与える影響については議論が残る。MLBはピッチクロック導入によって平均試合時間を3時間前後から約2時間38〜40分へ短縮したが、チャレンジの増加で試合が長引くとの指摘もある。MLBは、シーズン序盤の運用結果を踏まえてABSを調整することで、時間面への影響を抑えられるとの立場を示している。