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SpaceXが、地球低軌道に最大100万基のデータセンターを展開する構想を示した。AI需要の拡大を背景に宇宙での計算処理に注目が集まる一方、実用化には冷却、放射線対策、低軌道の混雑、打ち上げや軌道上組み立てに伴うコストという4つの課題が立ちはだかる。MIT Technology Reviewが3日付で報じた。

SpaceXは1月、米連邦通信委員会(FCC)に関連する申請書類を提出した。地上の電力網や冷却水に依存せず、AI向けの計算処理能力を拡大する狙いがあるとみられる。

宇宙での大規模計算を巡る動きは、SpaceXに限らない。ジェフ・ベゾス氏は2025年、大規模コンピューティングが宇宙へ移るとの見方を示した。Googleも、早ければ2027年に80機規模の試験衛星群を打ち上げる計画を進めている。米ワシントン州のスタートアップ、Starcloudは2025年11月、NVIDIAのH100 GPUを搭載した衛星を打ち上げた。

最初の難関は冷却だ。宇宙データセンターは継続的に太陽光を受けられる軌道に投入される必要があり、機器の温度を80度未満に抑えにくい。宇宙空間では空気や水による対流が期待できず、熱は放射によって放出するしかないため、大型の放熱面が必要になる。

こうした前提の下で、実現可能性を探る動きは出ている。Thales Alenia Spaceが2024年に実施した実現可能性調査では、欧州が2050年までにギガワット級の宇宙データセンターを軌道に投入できる可能性が示された。

放射線も重要な課題だ。宇宙放射線はビット反転や性能低下、恒久的な損傷を引き起こす可能性がある。既存の宇宙向け耐放射線部品は高価なうえ、性能面でも制約があるとされる。

NVIDIAは3月中旬、軌道上データセンター向けのAIコンピューティングハードウェアを公開した。ただ、課題は演算装置にとどまらない。メモリやストレージも放射線の影響を受けやすく、故障時の交換や再構成の手段が欠かせない。激しい宇宙天気現象が発生した場合には、衛星の電子機器が一斉に停止するリスクも残る。

低軌道の混雑も制約要因となる。Lunexas Spaceは、低軌道全体の許容量を約24万機と推定した。天文学者らは、5年周期で大規模な機器更新が行われるようになれば、大気圏再突入時の破片が現在の1日3〜4個から、3分に1個のペースまで増える可能性があるとして懸念を示している。

採算面の不透明さも大きい。大規模な宇宙データセンターはロケット1回で運べる規模ではなく、軌道上での組み立てが前提となる。しかし、それを担う高度なロボットシステムはまだ実用化されていない。

このため短期的には、地球観測衛星が取得した画像を宇宙で直接処理する小型サーバーの方が先に普及する可能性が高い。宇宙データセンターは構想段階から現実味を帯びつつあるものの、本格展開にはなお多くの技術的・経済的課題が残されている。

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