中東情勢の緊迫化と原油価格の急騰を受け、暗号資産市場では方向感を欠く展開が続いている。投資家の様子見姿勢が強まる中、Grayscaleは、相場の反発には地政学リスクの後退とマクロ環境の改善が必要だとの見方を示した。CoinDeskが2日(現地時間)に報じた。
Grayscaleはリポートで、地政学リスクがこれまで改善に向かっていたマクロ環境に水を差していると指摘した。
同社リサーチチームは「3月はイランを巡る戦争懸念が、ほかの市場変数を事実上かき消した」と説明した。戦闘激化前までは、世界的な成長モメンタムの改善や主要中央銀行の利下げ観測が意識されていたが、原油高を受けてインフレ懸念が再燃。金利見通しが上振れし、リスク資産全般の重荷になったという。
こうした動きは暗号資産相場にも波及した。リポートでは、紛争発生後にボラティリティは高まったものの、相場全体としてはレンジ内の推移にとどまったと分析している。
ビットコイン(BTC)は、当初の緊張局面で6万ドル台半ばまで下落した後、7万ドル台前半まで持ち直した。ただ、その後も衝突が続き、マクロ環境が再び引き締め方向に傾く中で、上値の重い展開となった。
Grayscaleによると、直近の再緊迫局面ではビットコインが3月の高値から約10%下落。イーサリアム(ETH)など主要トークンもそろって値を下げ、リスク回避姿勢が強まった。
一方で、パフォーマンスだけを見れば、暗号資産は伝統的な金融市場に比べて底堅さも示した。ビットコインは紛争発生後、おおむね横ばい圏を維持し、局面によっては株式市場を相対的に上回る動きも見せた。Grayscaleは、暗号資産がマクロショックに敏感である一方、相対的な回復力も備えている点を強調した。
今後の焦点について同社は、「不確実性の解消」を挙げた。当面は、多くの市場参加者がより明確なシグナルを確認するまで慎重姿勢を維持するとみている。
エネルギー価格が落ち着き、紛争が緩和に向かえば、市場はより良好なマクロ環境を速やかに織り込む可能性がある。一方、原油価格の高止まりが続けば、成長の重荷となり、相場回復が遅れる可能性があるとした。
またGrayscaleは、不確実性が高まる局面は、歴史的にみて長期投資家にとって次の成長局面に備える機会になり得るとも指摘した。短期的には、原油価格や金利見通し、地政学要因がリスクセンチメントを左右するため、中東情勢とエネルギー価格の動向が、暗号資産市場がレンジを抜け出せるかを左右する主要な変数になるとしている。