Appleが長年開発を進めながら製品化を見送った「Apple Car」をはじめ、テレビ一体型端末やウェアラブル端末、ノートPCなど、日の目を見なかった社内プロジェクトに改めて関心が集まっている。TechRadarは1日(現地時間)、過去50年にわたるAppleの未発売プロジェクトを振り返った。
中でも代表例として挙げられたのが、コードネーム「Project Titan」で知られるApple Carだ。開発の過程で構想が何度も見直され、最終的には中止となった。報道では、Appleは自社製の完成車の開発ではなく、自社技術を他社の自動車に組み込む方向へ軸足を移したとされる。
高性能コンピュータとして構想された「Big Mac」も製品化には至らなかった。縦型ディスプレイを採用し、既存のMacを上回る性能を備えたUNIXベースのモデルとして検討されていたが、スティーブ・ジョブズのApple退社後に計画は中断。その後、「Macintosh II」として形を変えて登場したものの、試作段階では木板の上に回路基板を載せた程度のものだったという。
ウェアラブル分野では、「Apple Ring」を巡るうわさも長く続いた。スマートリング市場そのものが大きく立ち上がっていないことに加え、Apple Watchと役割が重なる可能性がある点が背景として指摘されている。画面や明確な操作部を持たない機器に対するユーザーの抵抗感も課題とみられている。
リビング向け製品として検討された「Apple TV」のテレビ一体型端末も、最終的に投入は見送られた。スティーブ・ジョブズは、既存テレビの複雑さを解消する統合型テレビの答えを見つけたと語っていたとされるが、3つの画面サイズで展開した場合、価格が同クラス製品の2倍に達する可能性があるとの懸念から中止になったとみられる。
ノートPCの「PowerBook G5」も実現しなかった計画の一つだ。PowerPC G5は消費電力と発熱の面で課題を抱えており、ノートPC向けへの展開は困難だった。Macタワー向けG5も想定した性能に届かず、ノートPCはG4世代にとどまった。その後、AppleはIntel製チップへの移行を進めた。
Apple Watchにカメラを搭載する案も、これまで製品化には至っていない。報道によると、Appleはデジタルクラウン部分や分離型部品、曲げられるバンド先端など、複数の配置案を検討していたという。一方で、FaceTimeや物体スキャンへの活用可能性が取り沙汰される半面、プライバシーやバッテリー性能、操作性の低下を懸念する声もある。
このほか、Appleが初期に構想していたデジタルハブ機器「Apple Paladin」も実現しなかった。コンピュータ、ファクス、スキャナー、電話機を一体化する構想で、コードネームは「Project X」だった。一部試作機が外部に流出したとの指摘もあるが、実機は確認されていないという。
Appleの歴史は成功製品だけで成り立っているわけではない。市場投入に至らなかったこれらの試みもまた、同社がどの技術とユーザー体験を重視してきたのかを示す軌跡として位置付けられそうだ。