米連邦準備制度理事会(FRB)のマイケル・バー理事は、ステーブルコイン規制の明確化が市場拡大を後押しする可能性があるとの見方を示した。一方で、GENIUS法の運用にあたっては、マネロン対策や取り付けリスク、消費者保護などへの対応が不可欠だと警鐘を鳴らした。
1日付のCointelegraphによると、バー理事はステーブルコイン規制を巡るイベントで、GENIUS法が発行体に必要な「明確性」を与え得ると述べた。そのうえで、実際の制度の効果は、連邦・州の規制当局がどのように執行するかに左右されるとの認識を示した。
バー理事は、現在のステーブルコインが主に暗号資産取引で使われており、一部の海外市場ではドルの価値の保存手段としても利用されていると指摘した。今後は、送金コストの削減や貿易金融の処理迅速化、企業の資金管理の効率化などへ活用範囲が広がる可能性があるとした。
ただ、二次市場では本人確認を経ずにステーブルコインを取得できるケースがあり、違法資金が流入するリスクはなお残ると述べた。
論点の一つとして、準備資産の運用も挙げた。発行体が準備資産でより高い利回りを追求するようになれば、市場が不安定化した局面で償還への信頼が揺らぐ恐れがあると警戒感を示した。
GENIUS法は2025年7月に成立し、米国内の決済用ステーブルコインを対象とする連邦規制の枠組みを整備した。同法は、発行体に対し、米ドルや米国債などの準備資産によって1対1の裏付けを維持するよう求めている。
施行時期は、署名から18カ月後、または最終規則の確定から120日後のいずれか早い時点とされている。
米財務省は2025年9月、施行規則の策定に向けた2回目の意見募集手続きを開始した。FRBで金融監督を担当するミシェル・ボウマン副議長は2月、銀行規制当局が発行体向けの資本・流動性規制の準備を進めていると明らかにした。
連邦預金保険公社(FDIC)のトラビス・ヒル議長は3月、ステーブルコインは法律上、預金保険の対象にはならないとの見解を示した。
バー理事は今後の論点として、準備金規制、規制裁定、発行体に認める非発行業務の範囲、資本・流動性要件、マネーロンダリング対策の点検、消費者保護基準を列挙した。あわせて、安全性の裏付けが乏しい民間マネーを巡る歴史的事例にも言及し、米国の自由銀行時代や1907年恐慌、世界金融危機と新型コロナウイルス禍で生じたマネーマーケットファンドの不安、最近のステーブルコインを巡る価値下落圧力などを挙げた。