写真=Tesla公式サイト

Teslaが自動運転ソフトウェア「Full Self-Driving(FSD)」の最新版v14.3を社員向けにテストしていることが分かった。早ければ今週中にも広く展開される可能性がある。一方で、直近バージョンを巡る評価の分かれ方や規制リスクもくすぶっており、市場の関心を集めている。

米EVメディアElectrekによると、イーロン・マスクCEOは1日(現地時間)、X(旧Twitter)への投稿で「FSD 14.3は現在、社員向けベータ版として運用しており、今週末ごろに広く配信される可能性がある」と明らかにした。

v14.3についてマスク氏は、昨年末から「転換点」と位置付けてきた。今回のアップデートに関しても、「パズルの最後の大きなピースが埋まる」「車がまるで意識を持ったかのように感じられる」といった強気の見方を示していた。

更新の柱は、ニューラルネットワークの規模拡大と、推論能力および強化学習能力の改善だ。加えて、ユーザーから不満の声が出ていたナビゲーションの経路設定品質の改善や、複雑な都市環境への対応力強化も主な目標に挙げられている。

もっとも、こうした内容は事前に示された改善目標の側面もあり、実際の性能向上については正式配信後の検証が必要になりそうだ。

適用対象はハードウェア世代によって異なる。v14.3はまず最新のHW4搭載車に提供し、既存のHW3搭載車には軽量版の「FSD v14ライト」を別途投入する計画という。

ただ、この軽量版の提供時期は2026年半ばになる見通しで、ハードウェア世代によって利用体験に差が出る可能性も指摘されている。

市場やユーザーの見方が割れる背景には、直前バージョンを巡る議論がある。Electrekはv14.2系のアップデートについて、「好意的に見ても評価は分かれる」と報じた。

一部アップデートでは、スクールゾーンでの速度順守や動物検知などの機能が追加された。その一方で、ウインカーの誤作動やナビ指示の無視など、機能改善後に別の不具合が出る、いわゆる「回帰」が続いたとの指摘も出ている。

信頼性指標も期待ほどは伸びていない。重大なドライバー介入に至るまでの平均走行距離は、一時は2000マイル(約3218km)前後まで改善したように見えたが、データの蓄積に伴い1000マイル(約1609km)程度に近づいたとの分析がある。市街地では数十マイルごとにドライバーの介入が必要になるとの評価も出ている。

規制面のリスクも強まっている。米道路交通安全局(NHTSA)は、日差しのまぶしさや霧、空中の粉じんなどで視界が悪化した状況で、FSDが適切に対応できない可能性があるとして、調査をエンジニアリング分析の段階に進めた。

調査対象は約320万台に拡大した。一般に、エンジニアリング分析はリコールにつながる可能性がある手続きの前段階とみなされている。

NHTSAは、カメラベースのシステムが視界不良時の性能低下を十分に検知し、ドライバーに警告できていない可能性があるとみている。関連事故の報告件数が実態より少なく集計されている可能性についても調べているという。

調査対象となっている事故件数は従来の4件から9件に増え、このうち1件には死亡事故が含まれると伝えられた。信号無視に関する別件の調査も並行して進んでいる。

業界では、v14.3は単なる機能更新にとどまらず、Teslaの自動運転技術の信頼性を測る試金石になるとの見方が出ている。FSDがドライバーの常時監視を前提とするレベル2の運転支援システムである以上、実走行環境での安全性と一貫した性能改善が、今後の評価を左右する見通しだ。

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