フォードが、テスラの「Model 3」「Model Y」に対抗する低価格EVの投入を検討している。ジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は、普及価格帯のEVに加え、ハイブリッド車やEREV(レンジエクステンダーEV)も並行して展開する考えを示した。
EV専門メディアのInsideEVsが1日(米国時間)に報じた。ファーリーCEOは最近出演したポッドキャストで、「Model YとModel 3に対抗する完全電動の低価格車を投入する」と述べ、低価格EVの計画に言及した。
同時に、フォードがEV一本に絞らない姿勢も強調した。ファーリーCEOは、ハイブリッド車、EREV、普及価格帯EVを幅広く手掛ける方針を示し、ハイブリッド車のフルラインアップに加え、牽引性能に強みを持つ一部EREVの開発も進めていると説明した。
一方で、新型EVの車名や車格、発売時期などの詳細は明らかにしていない。InsideEVsは、この普及価格帯EVがフォードの「ユニバーサルEVプラットフォーム(UEV)」をベースにする可能性があると指摘した。
フォードはEV専用プラットフォームを別途開発しており、その第1弾として、約3万ドルクラスの中型電動ピックアップトラックを来年公開する予定とされる。InsideEVsは、専用プラットフォームを単一車種のためだけに投入する可能性は低いとして、ファーリーCEOが言及した「Model 3」「Model Y」対抗車も同じアーキテクチャを共有する公算が大きいと報じた。
フォードがテスラ対抗EVを2車種で展開するのか、それとも1車種で幅広い需要に対応するのかは不明だ。ただ、UEVプラットフォームは複数のボディ形状に対応できるとみられている。
ファーリーCEOは過去のインタビューで、UEVプラットフォームを特定モデルに適用する可能性を問われた際、「そのアイデアについてはさまざまな考えがあるが、まだ話す準備はできていない」と述べ、明言を避けていた。
電池では、LFP(リン酸鉄リチウム)電池の採用も有力視されている。フォードが投入予定の中型電動ピックアップでLFPを採用したことから、今後の普及価格帯EVでも同じ電池化学系を採用するとの見方が出ている。
LFPは一般に、ニッケル含有量の高いリチウムイオン電池に比べてコストが低く、耐久性にも優れるとされる。満充電を繰り返した場合でも劣化リスクが相対的に小さい半面、エネルギー密度が低く、同条件では航続距離の設計に制約が生じやすい。
こうした発言の背景には、自動車業界でEV戦略の見直しが広がっていることがある。トランプ政権の政策変更後、フォードやテスラを含む複数のメーカーがEV目標を一部縮小し、その過程で数十億ドル規模の損失が発生した。
フォードも足元でEV計画を見直してきた。F-150 Lightningは販売が想定ほど伸びず中止となり、次世代の大型電動ピックアップと第2世代の電動Transitバンの計画も停止した。