写真=Financial Magnates

米商品先物取引委員会(CFTC)のマイケル・セリグ委員長は、時価総額3兆ドル(約450兆円)規模とされる暗号資産市場全体を監督する用意があるとの考えを示した。議会で法整備が遅れるなかでも、CFTCとして所管拡大に前向きな姿勢を打ち出した格好で、デジタル資産規制の主導権を巡る議論が改めて注目を集めている。

Cointelegraphが4月1日に報じたところによると、セリグ氏は就任100日に合わせて公表した声明で、「暗号資産市場に対する責任を担う準備ができている」と述べた。暗号資産の市場構造を巡る法案「CLARITY Act」の審議が進まないなか、立法の行方とは切り離して監督権限の拡大に意欲を示した形だ。

CLARITY Actを巡っては、ステーブルコインへの利息付与などの主要論点で見解の隔たりがあり、委員会審議が停滞しているとされる。こうした状況下でセリグ氏が先に役割拡大に踏み込んだことで、規制の空白を埋める当局主導の動きが強まる可能性がある。

CFTCは、暗号資産に加えて予測市場(prediction markets)についても管轄権を強調した。セリグ氏は「暗号資産業界と同様に、予測市場にも規制の明確性が必要だ」と述べ、同市場が価格発見の機能を果たし得るとの認識を示した。そのうえで、予測市場は商品取引法(Commodity Exchange Act)の適用対象であり、監督当局はCFTCに限られるという従来の立場を改めて示した。

実際、予測市場を巡る規制上の対立は広がっている。KalshiやPolymarketなどの主要プラットフォームには、一部州政府や連邦議員から、賭博関連法規への抵触や規制逃れの疑いが指摘されている。とりわけ政治イベントに連動する取引では、インサイダー情報を利用した不当利益の可能性も取り沙汰され、議論が強まっている。

これに対し、CFTCは強硬姿勢を崩していない。セリグ氏は、予測市場について「CFTCが排他的管轄権を持つ」と述べ、同委員会の権限に異を唱える動きには法的措置も辞さない考えを示した。デイビッド・ミラーCFTC執行局長も最近のイベントで、「イベント契約はギャンブルではなくスワップだ」と述べ、明確な監督対象だと強調した。

一方、足元ではCFTCの規制姿勢にも変化がみられる。昨年12月のセリグ氏就任後は、前政権時代と比べてデジタル資産規制の一部で軟化を示す動きが続いており、3月には米証券取引委員会(SEC)と監督協力に向けた覚書(MOU)を締結した。ただ、暗号資産のうち証券に該当するとみなされる資産については、引き続きSECが規制を担う見通しで、両機関の役割分担を巡る課題は残っている。

政界でも別途、立法論議が続いている。一部議員は、軍事・外交イベントに連動する予測市場取引で異常な兆候が確認されたとの問題提起を受け、インサイダー情報を持つ公職者によるイベント契約への参加を制限する法案を推進していると伝えられている。

今後の焦点は、CLARITY Actを含む市場構造法案の行方に加え、CFTCが暗号資産と予測市場の双方で、どこまで監督権限を確保できるかに移りそうだ。

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