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AIを活用した自然言語ベースの開発手法「vibe coding」が広がり、企業がソフトウェアを内製しやすい環境が整いつつある。ただ、市場の一部で語られる「SaaS終末論」については懐疑的な見方が根強く、大企業が利用中の基幹ソフトウェアを一気に自社開発へ切り替えるのは容易ではないとの見方が強い。

もっとも、AIの台頭がエンタープライズソフト市場に与える影響は小さくない。ソフトウェアベンダーにとっては株価下落リスクに加え、顧客との価格交渉で不利になりかねない材料として意識され始めている。企業のソフトウェア調達に対する見方も変わりつつある。

米Wall Street Journal(WSJ)によると、物流大手FedExのCIO、ビシャル・タルワー氏は、現時点では既存ソフトウェアを継続利用する方針を示しつつ、ソフトウェアを巡る不確実性やAIエージェントの登場を価格体系見直しの契機と捉えている。「パートナー企業がどう対応するかを見極めるため、先手を打って協議を進めている」と述べた。

一部企業では、基幹ソフトは維持しながら、小規模アプリの開発や既存ソフトの最適化にvibe codingを取り入れる動きが出ている。

EYの成長・イノベーション部門グローバル・マネージング・パートナー、ラジ・シャルマ氏は、「長年利用してきたSAP ERPを外す計画はない」とした上で、「vibe codingとAIエージェントを活用し、SAP ERPを前提にした最適化機能を内製している」と語った。

WSJによると、EYの年間IT予算は100億ドル規模。SAPのアップグレードを直ちに購入せず、vibe codingの活用によって予算の一部を削減できるという。シャルマ氏は「AIやvibe coding、エージェント型フレームワークのような技術がなければ、SAPソフトウェアをさらに大きなコストをかけて再度アップグレードする必要があったはずだ」と述べた。

ネットワーク機器大手Ciscoも、自社のAIエージェントでプレゼンテーションソフトを置き換えた事例として挙げられる。WSJによると、Ciscoはこれにより年間のライセンス費用を約500万ドル(約7億5000万円)削減している。

Ciscoはプレゼンテーションソフト以外でも、他社製ソフトをAIで置き換える取り組みを進めている。WSJは、Ciscoのオペレーション部門バイスプレジデント、ティマヤ・スバイ氏の話として、この種のソフトの年間サブスクリプション費用が5000万ドル(約75億円)から2億ドル(約300億円)に達する企業もあると伝えた。スバイ氏は「現在使っているすべてのアプリケーションを洗い直し、どこまで自動化ワークフローに置き換えられるかを見極める必要がある」と述べた。

中堅・中小企業では、vibe codingを使って自社CRMを構築する事例も出ている。WSJは企業のテックリーダーの話として、中小規模の企業は大企業ほど人員体制や規制、法務面の複雑さを抱えていないため、自社ニーズに合わせたCRMやERPを比較的導入しやすいと伝えた。

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