ハイブリッドカジュアルゲームが、モバイルゲーム市場の新たな成長分野として存在感を高めている。急拡大してきたハイパーカジュアルゲームは市場の飽和と収益性の低下が課題となっており、広告収入に加えてアプリ内課金も取り込むハイブリッド型への移行が進む。韓国の主要ゲーム各社も相次いで参入を打ち出している。
ハイパーカジュアルゲームは、シンプルな操作性と直感的なルールを武器に、幅広いユーザーを獲得してきた。一方で、収益源がアプリ内広告に偏りやすく、ダウンロード数が伸びても売上がそれに見合って拡大しにくいという課題を抱えていた。
広告表示の多さがユーザー体験を損なうとの指摘も根強い。競争激化を背景に、ハイパーカジュアルゲーム自体もハイブリッド化が進んでおり、業界ではモバイルゲーム市場の勢力図を左右する変化になりつつあるとの見方が出ている。
ハイブリッドカジュアルゲームは、こうした構造的な課題を補う形で広がっている。ハイパーカジュアルの手軽さを維持しながら、収集要素やRPG要素、ストーリー要素などを組み合わせることで、長期的な定着を狙う。収益面では、アプリ内広告とアプリ内課金を併用するモデルを採用し、広告依存を和らげながら収益源の多角化を図る。プレイ時間の長期化が課金転換率の向上につながるため、ゲーム設計そのものが収益性に直結しやすい構造といえる。
◆データが示す収益性、韓国でも成功例
ハイブリッドカジュアルゲームの収益性は、データでも裏付けられている。グローバルのモバイルアプリ分析会社AppMagicによると、昨年9月時点でGoogle PlayとApp Storeにおけるハイブリッドカジュアルゲームのアプリ内課金収益は、前年同期比でそれぞれ93%、84%増加した。
韓国ではSupercentが代表的な成功例として挙がる。「Pizza Ready」の累計ダウンロード数は4億件を超え、「Snake Clash」などのヒットも追い風となり、同社は昨年末に「1億ドル輸出の塔」を受賞した。
アプリ分析会社Sensor Towerによると、Supercentは2025年のモバイルゲームパブリッシャー世界ダウンロードランキングで7位だった。韓国のゲーム会社としては、過去10年で異例の成果とされる。Supercentは2021年の設立以来、カジュアルゲームに特化して実績を積み上げてきた。
市場予測も追い風だ。Samsung Securitiesによると、世界のカジュアルゲーム市場は2025年の約184億ドルから、2032年には357億ドルへ拡大する見通し。韓国内市場の成長が鈍化する中、カジュアルゲームは特定の言語や文化圏への依存度が比較的低く、ローカライズ負担も相対的に小さいことから、大手各社の参入を後押ししている。
◆NCsoftとNPTUNE、各社が事業基盤を強化
大手ゲーム会社も、ハイブリッドカジュアルゲーム市場への布石を急いでいる。「Lineage」で知られるNCsoftは昨年、モバイルカジュアル本部を新設し、ハイブリッドカジュアルを含むカジュアルゲーム市場への本格参入を打ち出した。MMORPGに偏ったラインアップを多角化し、西側市場を含むグローバル展開を広げる狙いだ。
NCsoftは、Lihuhu、Springcomes、Moving Eyeなど国内外のモバイルカジュアルスタジオを傘下に収めるなどして陣容を拡充した。さらに、カジュアルゲームプラットフォームのJustPlayを買収し、エコシステム運営の基盤も整えた。3月26日に開催した株主総会では、モバイルカジュアルゲーム事業の拡大を3つの中核軸の1つに位置付けた。
一方、より明確にハイブリッドカジュアルゲームへ軸足を置くのが、KRAFTON傘下のNPTUNEだ。NPTUNEは3月26日、ハイブリッドカジュアル専門のパブリッシングブランド「Flick」を立ち上げた。ハイブリッドカジュアルのパブリッシングを3大新規事業の1つと位置付けている。年初には子会社Tripleaを吸収合併し、専任組織も新設した。
同社は専門開発会社Albusにも投資しており、Albusの代表作2タイトルは発売から2年で世界累計4000万ダウンロードを達成した。Crit Venturesの出資を受ける開発会社PEPが開発中の「Dig & Roll」についても、Tripleaとパブリッシング契約を結んでおり、今年上半期のリリースを予定している。
NPTUNEが差別化要因として掲げるのは、既存のアドテク事業との連携だ。ハイブリッドカジュアルで獲得したユーザートラフィックに広告技術を組み合わせることで、アプリ内収益の最大化を狙う。NPTUNEは「一過性の取り組みではなく、持続可能なパブリッシングのパイプラインを構築していく」としている。
業界関係者は「ハイブリッドカジュアルは一見するとシンプルだが、ユーザーを長く引き留める設計力が問われるジャンルだ」と指摘する。その上で「資本やブランドを武器に参入しても、最終的にはこのジャンルを継続的に手掛けてきたチームの経験値が勝敗を分ける」と話した。