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韓国政府がAI関連バウチャー制度の見直しを進めている。中小企業のデータ購入・加工費を直接支援してきた枠を縮小する一方、企業のAIトランスフォーメーション(AX)を包括的に支援する体制へと重点を移しつつある。

科学技術情報通信部が2日までに公表した予算書によると、2026年のデータバウチャー予算は93億5000万ウォンとなり、前年の280億ウォンから66.6%減少した。データバウチャーは、中小企業や小規模事業者、予備創業者を対象に、AI開発に必要なデータの購入・加工費を支援する事業として2019年に始まった。

支援規模は2022年に2657億ウォンまで拡大したが、その後は4年連続で縮小している。

背景には、財源である情報通信振興基金の収入減がある。同基金は通信事業者の拠出金を主な収入源とするが、有線電話やインターネット加入者の減少に加え、通信市場の成熟化もあり、基金収入そのものが細っている。

データバウチャーを含むAI統合バウチャー全体の予算も、2022年の2657億ウォンから2026年には898億ウォンへ縮小した。4年間でおよそ3分の1の水準となる。

一方で、同じ予算枠の中では新設事業もある。AXワンストップバウチャーで、2025年は予算計上がなかったが、2026年は300億ウォンを充てた。

この制度は、需要機関がAXに必要な技術、インフラ、データの支援を一括で受けられる仕組みだ。科学技術情報通信部、産業通商資源部、中小ベンチャー企業部は今月、AIエージェントやAXスプリントなど11のAX事業を一体で、総額4230億ウォン規模で公募した。

ただ、AXワンストップバウチャーをデータバウチャーの代替とみなすのは難しい。データバウチャーが中小企業や小規模事業者を対象に、1件当たり最大4500万ウォンを支援するのに対し、AXワンストップバウチャーは1課題当たり30億ウォン規模で、支援先も20機関に限られるためだ。

採択のハードルは高く、データ活用の初期段階にある零細企業や小規模事業者にとっては、実質的に利用しにくいとの見方が出ている。

その一方で、現場の需要はむしろ強まっている。2025年のデータバウチャー申請件数は4699社に上り、競争率は10.2倍と過去最高を記録した。

AIデータ専門企業のCrowdWorksによると、2026年のデータバウチャーに関する1日当たりの平均問い合わせ件数は前年同期比60%増えた。SelectStarも、同期間の問い合わせが40%増加したと明らかにしている。

CrowdWorksは「中小企業はAIを単なる好奇心の対象ではなく、生き残りの手段として捉え始めているようだ」とコメントした。

科学技術情報通信部は、データバウチャーの縮小について、政策方針の転換というよりは基金事情の影響が大きいとの立場を示している。同部関係者は「財源である情報通信振興基金の収入が減少し、予算編成に影響した」と説明。その上で「同部の意図とは異なる面がある可能性もある」とした。

さらに「AI時代においてデータは不可欠であり、事業をなくす考えはない。基金の余力の範囲で継続的に推進したい」と述べた。

民間向けデータ支援の空白を補う策としては、行政安全部が年初に対応策を打ち出した。AIがそのまま学習や分析に活用できるよう整備した「AI-Ready」公的データ管理体系を構築し、高付加価値の公的データ100種を3年間で段階的に開放する計画だ。

企業が追加費用をかけずに利用できるデータ環境の整備を目指すものだが、対象は公的データに限られる。このため、企業固有の業種別学習データの構築需要まで代替するのは難しいとの指摘もある。

データバウチャーの実施企業関係者は「申請企業の多くはスタートアップや予備創業者で、データに加え、AIモデルやGPUなど、AXワンストップバウチャーが支援する要素も必要としている」と話す。

その上で「現在のデータバウチャー予算規模では、こうした需要を満たすには不十分で、採択競争も激しい。より多くの企業が利用できるよう、支援のあり方を見直す必要がある」と指摘した。

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