ビットコインは、過去の相場サイクルで明確な底打ちが確認された際の条件に、なお達していない可能性がある。オンチェーン指標をもとに、こうした見方が出ている。
The Crypto Basicは4月1日、ビットコインの現物価格が実現価格(realized price)を大きく上回っており、多くの保有者が依然として含み益圏にあると伝えた。
焦点となっているのは、現物価格と実現価格の乖離だ。ビットコインは6万8774ドルで推移している一方、実現価格は5万4286ドルで、その差は約1万4500ドルと約21%に達する。実現価格は、全コインの平均取得単価を最後に移動した価格ベースで算出したもので、市場の底を測る代表的なオンチェーン指標とされる。過去のサイクルでは、現物価格が実現価格を下回り、市場参加者の多くが損失を抱える局面の後に、強い蓄積局面へ移行するパターンが繰り返されてきたという。
これまでの事例と比べると、足元ではキャピチュレーション(投げ売り)のシグナルがなお弱いとの見方がある。2022年の弱気相場では、ビットコインは数カ月にわたって実現価格を下回って推移し、最安値局面では実現価格比で約15%下まで下落した。底値圏は1万5500ドル近辺とされる。2020年の新型コロナウイルス禍によるショック局面でも、損失拡大が蓄積環境を生んだとされる。これに対し、現在は現物価格が実現価格を約21%上回っており、完全なキャピチュレーションが起きたとみるのは難しいという。
乖離の縮小ペースにも注目が集まっている。2024年末にビットコインが11万9000ドルを上回っていた時期には、実現価格に対するプレミアムは約120%に達していたが、その後およそ15カ月で21%水準まで急速に縮小した。この種の急速な圧縮は、通常は大幅下落局面で観測されやすいが、今回は市場全体の崩壊を伴わずに進んだ点が特徴だとされる。
こうした動きを受け、現在を蓄積局面とみるべきかどうかを巡っても見解が分かれている。CryptoQuantのアナリスト、オイノネン氏は、ビットコインが最近、蓄積局面に入ったと指摘し、2022年の底値局面との類似性を挙げた。一方で、過去サイクルにおける本格的な蓄積局面は、価格が実現価格まで下落するか、それを下回る局面で形成されることが多かったとの反論もある。現時点で「確定した買い集め局面」と断定するのは時期尚早だという見方だ。
他の市場指標も強弱が入り混じっている。Coinbase Premium Indexは足元でマイナスに転じており、米国勢の需要が弱まった可能性を示唆する。一方、値動きだけを見ると、ビットコインは約5週間にわたり6万5000~7万ドルのレンジを維持している。米国とイランの対立を巡る地政学リスクが意識されるなかでも、比較的安定した動きだった。3月のETF流入額が10億ドル(約1500億円)を超えたことも、不確実性の高い環境下で投資需要が完全には失速していないことを示している。
全体として、ビットコインは長期投資の買い場とされる水準に近づきつつあるものの、過去の底打ち局面を確認する決定的な条件はなお欠けているとの見方だ。The Crypto Basicは、保有者全体に広がる含み損が過去の底値局面に共通する特徴だったと指摘。現物価格が実現価格に接近、あるいは下回る水準まで圧力が強まるまでは、底打ち判断を留保すべきだと伝えている。