Nol Universeのキム・ヨンジンCTOは4月1日、Databricksが開催したカンファレンス「AI Days Seoul」の基調講演で、集中管理型フィーチャーストア「Lynx」の導入事例を紹介し、Yanoljaグループ全体を横断するグローバルデータ基盤の構築を進める方針を示した。
Nol Universeは、1300万人の会員基盤を背景に、宿泊、航空、レジャー、エンターテインメントにまたがるデータを蓄積してきた。現在はDatabricksを活用し、それらのデータを実際の事業に生かす取り組みを進めているという。
キム氏によると、経営陣はデータに基づく意思決定を重視していた一方で、現場では必要なデータに素早くアクセスしにくく、データサイロの解消も進んでいなかった。
Databricksと実施した診断では、課題は3つに整理された。膨大なデータの中から必要な情報を見つけにくい「発見」、見つけたデータを安心して使えるか判断しづらい「信頼」、宿泊・航空・レジャーなど複数サービスのデータを横断的に見通せない「複雑性」だ。このため、データを必要とする部署が専門人材に依頼し、利用までに数日を要するケースもあったという。
こうした課題に対応するため、同社は集中管理型のフィーチャーストア「Lynx」を構築した。キム氏は導入の狙いとして、全社員がデータ生成に参加して貢献できること、すべての開発をコードレビューを通じて統制すること、検索のための中央ハブを整備すること、フィーチャー生成からデプロイ、運用管理までを自動化することの4点を挙げた。
そのうえでキム氏は、「Databricksを単なる分析ツールではなく、データプラットフォームとして活用するための取り組みだ」と説明した。
導入前は、データレイク、Prestoベースのクエリエンジン、Airflowベースのスケジューラー、データハブベースのカタログ、Jupyterベースのノートブックが個別に運用されていた。システム間の連携が難しく、運用管理も複雑だったが、Databricksに機能を集約したことで開発スピードは大きく向上したとしている。
Lynxは事業面での活用も進んでいる。キム氏は、Lynxベースのフィーチャーを活用したユーザーセグメンテーション基盤を、マーケティングやパーソナライズドサービスに適用したと説明した。これまでデータアナリストに依頼して数日待っていたターゲティング業務も、現在は数回のクリックで実行できるようになったという。
今後のデータ戦略としては、Yanoljaグループ全体をカバーするグローバルデータプラットフォームの構築を掲げた。キム氏は「イスラエルのテルアビブ、インド、米国、ブラジルなど、世界各地に分散するグループ会社のデータをつなぐ取り組みだ。現在、Databricksを活用したグローバルデータメッシュの実現プロジェクトを進めている」と語った。
さらに「どこで旅行しても、10倍簡単に、より楽しく利用できる環境をデータとAIで作っていく」と述べた。