Teslaが、ロボタクシー運用において自動運転システムでは対処できない場面で、遠隔支援操作者(RAO)が車両を直接運転できると認めた。完全自動運転(FSD)の実際の運用体制と透明性を巡り、あらためて議論が広がっている。
3月31日付のEngadgetなどの報道によると、Teslaで公共政策・事業開発を担当するディレクター、カレン・ステイクリは、エドワード・マーキー上院議員宛ての書簡で、RAOが限定的な条件下で車両を直接運転できると説明した。
Teslaはこれを、ほかの介入手段では対応できない場合に用いる最終的な安全措置と位置付ける。現場対応要員の到着を待たずに車両を移動させ、事態を安全に収めるための手段だとしている。
公開された文書では、遠隔介入の条件も示された。RAOは、車両が時速約3.2キロ以下で走行している場合、または停止中に一時的に制御を引き継ぐことができる。
その後は、自動運転ソフトウェアが許容する範囲内で、最大時速約16キロまで直接運転できるという。Teslaは、オースティンとパロアルトに運用センターを設け、自社社員がこの機能を担っていると説明した。
目的は、緊急時に車両を安全な場所へ移動させ、交通の滞留を抑えることにあるとしている。
こうした運用は、他の自動運転企業との違いという点でも注目を集めている。Google傘下のWaymoは、遠隔支援チーム「fleet response」が車両のセンサー情報を通じて周辺状況を把握し、システムの判断を支援する方式を採っている。
Waymoは従来、遠隔要員が車両を直接運転することはないと説明してきた。遠隔支援は行うものの、実際の操舵や走行はシステムが担う仕組みで、Teslaの運用とは異なる。
米議会でも問題視する声が出ている。マーキー上院議員は、自動運転企業が人為的ミスの低減を訴えてきた一方で、実際にはどの程度人間に依存しているのかについて、より率直に説明すべきだと批判した。
さらに、Teslaが「FSD」という名称を使うことで、消費者に人の介入を必要としない技術だと受け取らせる余地があったとも指摘した。ロボタクシー運用で遠隔要員にどこまで依存しているのか、透明性の高い情報開示が必要だと強調している。
今回の開示により、Teslaのロボタクシーは完全な自律走行だけで運行されるわけではなく、必要に応じて遠隔から人が車両を直接動かせる体制を備えていることが明確になった。これを受け、FSDの実態と「完全自動運転」という呼称の妥当性を巡る議論は、今後さらに強まりそうだ。