Clarity Actを巡っては審議が長引いており、TD Cowenは年内成立の確率を3分の1程度とみている。画像=Reve AI

米上院は、暗号資産の市場構造法案「Clarity Act」を4月末に委員会で審議する。最大の争点は、ステーブルコイン保有者への利回り付与を禁じる条項だ。Coinbaseがこの規定に強く反発しており、審議前の条文修正が焦点となっている。

3月31日付のブロックチェーンメディア Coinpostによると、上院は5月までの委員会通過を目指している。ただ、主要条項を巡る業界の反発が強まっており、審議直前の修正協議が不確定要素となっている。TD Cowenは、法案の年内成立確率を3分の1程度とみており、先行きには慎重な見方が出ている。

法案審議はこれまでも曲折をたどってきた。Coinbaseは1月15日に予定されていた委員会審議の前日に支持撤回を表明し、その後、採決は延期された。

業界が特に問題視しているのは、トム・ティリス共和党上院議員とアンジェラ・オールソブルックス民主党上院議員が主導し、3月24日に公表した妥協案だ。

最大の争点は、ステーブルコインの保有残高に対する利回り付与を禁じる条項にある。一方、取引や決済などの活動に応じた報酬は認める設計とされるが、Coinbaseは条文次第ではこうした報酬の仕組みまで実質的に封じかねないとして反発している。TD Cowenのワシントン・リサーチ・グループでマネジングディレクターを務めるジャレット・シーバーグ氏も、現行の折衷案では法案成立に向けた前進には不十分だと指摘した。

Coinbaseは3月26日、改正案には重大な懸念があるとして、上院側に支持できないとの立場を伝えた。Coinbaseが正式に反対を表明するのは今回で2度目となる。同社は複数の大手暗号資産企業とともに、条文修正を求める業界案の調整を進めていると伝えられている。

この条項は、Coinbaseのステーブルコイン関連収益に直接影響する可能性がある。関連収益は年13億5000万ドルで、年間総収益の約20%に相当するという。

これに対し、銀行業界は規制強化を求める姿勢を強めている。ジェイミー・ダイモン JPモルガン最高経営責任者(CEO)と、ブライアン・アームストロングCoinbase CEOが、ステーブルコインを巡って対立する構図となっている。

暗号資産業界は、銀行が米連邦準備制度理事会(Fed)に預ける準備金で約4%の利回りを受け取る一方、預金者には実質ゼロ金利を続けてきたと主張する。ステーブルコインでの報酬付与を禁じるのは、競争を抑えるためにすぎないとの立場だ。

議会内でも妥協点を探る動きが続いている。シンシア・ルミス上院議員は3月29日、「ステーブルコインの報酬案を守りつつ、コミュニティバンクからの預金流出を防ぐために努力している」と述べ、超党派合意に向けた調整が進んでいることを明らかにした。

焦点は、4月末の委員会審議までにCoinbase主導の代替案が条文に反映されるかどうかだ。モレノ上院議員は、5月までに可決できなければ、2027年以前にデジタル資産関連法案が再び本格審議される可能性は低いと警告したとされる。

昨年7月に下院を294対134で通過した法案が上院で足踏みすれば、規制整備はさらに長期化しかねない。今回の委員会審議は、法案の行方を左右する重要局面となりそうだ。

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