401(k)で暗号資産やプライベートエクイティへの投資を認める方向となった。写真はイメージ(写真=Shutterstock)

米労働省(DOL)は、401(k)の退職年金口座で暗号資産やプライベートエクイティ(PE)などの代替資産を投資対象に組み入れられるようにする規則案を公表した。プランの受託者が一定の手順に沿って資産を検討した場合、受託者責任を果たしたとみなす判断枠組みを示し、投資対象の拡大を後押しする。

3月31日付の報道によると、今回の規則案では、年金プランの受託者が代替資産を採用する際に適用されるセーフハーバーと、受託者責任の履行手順の具体化に重点を置いた。

柱となるのは、政府が特定の資産クラスを一律に排除するのではなく、受託者が客観的な検討プロセスを踏めば、代替資産をポートフォリオに組み入れられるよう制度面の整理を進める点だ。労働省は、9000万人超が利用する401(k)で投資の選択肢を広げる狙いがあるとしている。

規則案では、受託者責任を果たしたと判断されるための検討項目と手順を示した。受託者には、手数料や流動性、透明性などを「客観的かつ分析的に」点検するプロセスの整備を求める。労働省は、こうした基準によって、受託者が訴訟リスクを抑えながらポートフォリオを構築しやすくなるとみている。

労働省の姿勢も、個別資産の是非より、選定手続きの適切性を重視する方向に軸足を移した。キース・ソンダーリング労働省次官補は、労働省の役割は特定資産を評価することではなく、慎重な検討プロセスを徹底させる中立的な立場にあると強調した。

今回の規則案は、ドナルド・トランプ米大統領が昨年8月に署名した「代替資産への投資機会の民主化」に関する大統領令を具体化する内容。ロリ・チャベス=デレマー労働長官は、規則案について、現在の投資環境をより的確に反映し、労働者が尊厳を保って退職後の生活を送れる制度づくりに資すると述べた。あわせて、2022年にバイデン政権が暗号資産投資を事実上制限していた指針を正式に撤回し、資産クラスを恣意的に選別する手法を見直す現政権の方針を反映したものとの見方も出ている。

他省庁からも歓迎の声が上がった。ポール・アトキンス米証券取引委員会(SEC)委員長は、米国民が成長とイノベーションの恩恵を享受できるよう、長らく遅れていた制度改善を歓迎するとの声明を発表した。スコット・ベッセント財務長官も、年金資産の保護を前提に投資機会を広げる今回の取り組みを「経済の黄金時代の実現に向けた象徴的な前進」と評価した。

手続き面では、ホワイトハウス傘下の規制審査機関である行政管理予算局情報・規制問題局(OIRA)による審査が先週完了した。規則案は、年間2億ドル超の経済的影響が見込まれる「経済的に重要な規制」に指定された。401(k)内の約12億5000万ドルを含む総額13兆8000億ドル規模の米退職年金市場が暗号資産に門戸を開く可能性も取り沙汰されるなか、規則案は今後、パブリックコメント(意見募集)の段階に入る見通しだ。

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