米Cornell大学の学生が、米国の給与税をStrategyの優先株「STRC」への投資に回した場合、老後資産がどの程度積み上がるかを試算できるシミュレーターを公開し、関心を集めている。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoは3月31日(現地時間)、ビットコイン支持者のエラ・ハフ氏がこのツールを公開したと報じた。
ツールは、22歳の労働者が年収10万ドルを得ているケースを前提とする。給与税として拠出する6.2%を、Strategyの優先株「STRC」への投資に回す想定だ。
ハフ氏の説明によると、STRCは現在、年率換算で11.5%の配当水準にあり、ナスダックでは額面100ドル近辺で取引されているという。直近30日間の値動きについては、主要資産クラスやS&P500採用銘柄と比べてボラティリティが低かったとしている。
シミュレーターでは、配当金を毎月再投資する条件を採用した。利回りは退職時期が近づくにつれて直線的に低下し、67歳時点で6%になると仮定している。
この前提では、67歳時点のポートフォリオ価値は269万ドルとなり、月間の配当収入は1万3405ドルに達すると試算した。
比較対象として、米社会保障制度における平均的な月額給付2074ドルも示した。2025年のSSAの信託基金報告書では、2034年に基金が枯渇し、その後は予定給付の81%しか支払えない可能性があるとしている。
もっとも、この試算には前提に伴うリスクもある。STRCの配当は保証されておらず、Strategyの取締役会が毎月見直せるためだ。
また、STRC優先株がStrategyのビットコイン保有残高76万2099BTCによって直接裏付けられているわけでもない。
ハフ氏は「Z世代向けの社会保障制度が、もう少しSTRCに近い仕組みだったらどうか」という趣旨の問題提起を行った。これに対し、コメント欄では、45年にわたるインフレで実質リターンが損なわれる可能性や配当減額リスク、給与税の振り向けには議会による立法が必要だといった指摘が出た。
一方で、配当型商品よりもビットコインへの直接投資や、Strategyの普通株「MSTR」への投資を支持する意見もあり、議論は広がっている。
今回のツールは、Z世代の間で高まる老後不安と代替投資への関心を、具体的な数字で示した事例といえる。ただ、給与税を特定の金融商品へ振り向けるような制度変更には、社会保障制度の見直しと政治的な合意形成が前提となる。実現へのハードルはなお高い。
その意味で今回の反響は、STRCそのものの投資妙味をめぐる議論にとどまらず、既存の社会保障制度に対する若年層の不信感を浮き彫りにしたともいえそうだ。