画像=HuaweiのAIチップ「Ascend 910B」のイメージ(@alfonsoigum/Medium、記事の主題であるAscend 910Cとは別)

中国・深センで、Huaweiの国産AIチップを基盤とする大規模計算インフラの整備が加速している。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると、深センは3月31日、Huawei Technologiesの「Ascend 910C」を用いた1万枚規模の計算クラスターを本格稼働させた。

同クラスターは、中国国内で国産チップを基盤に構築された大規模事例として位置付けられている。今回稼働した第2段階分の演算性能は約1万1000PF。深センはこれに先立ち、昨年に3000PF規模の第1段階クラスターを整備しており、今回の拡張で総演算性能は1万4000PF規模に拡大した。

現地紙の深セン特区報によれば、新クラスターには約50の機関が参加し、計算資源の利用契約を結んだ。予約率は全体の92%に達しているという。

高い稼働率は、深センを中心にAI向け計算資源の需要が急増していることを示す。AIスタートアップやロボティクス企業、研究機関の集積を背景に、計算資源の確保競争が激しくなっている。

ロボティクス関連スタートアップX Square Robotのチャン・ルンチョン副社長は、「計算能力の規模と質が同時に改善し、深センは国家レベルのAI拠点へと飛躍しつつある」と評価した。

一方、性能面ではなお先行企業との差も残る。DeepSeekの分析では、Ascend 910Cの性能はNVIDIAのH100の約60%にとどまると推定されている。

それでも中国企業の間では、次世代チップによって差を急速に縮めるとの期待が広がる。ロイターによると、ByteDanceやAlibabaなどの大手テック企業は、Huaweiの次世代AIプロセッサ「Ascend 950PR」の導入を検討している。

Ascend 950PRは、ソフトウェアエコシステムの互換性向上や応答速度の改善を強みとし、NVIDIAのCUDAが中心だった市場構造に変化をもたらせるかが焦点となる。Huaweiは950PRを量産し、年内に数十万個規模で供給する計画と伝えられている。

今回のクラスター稼働は、深センの長期的なAIインフラ戦略の一環でもある。深セン市は2028年までに世界的なAI計算ハブとなることを目指し、サーバー生産の拡大に加え、チップ、ストレージ、光モジュールといった中核部材の供給網強化を進めている。

さらに、2026年までに市全体のリアルタイムAI計算能力を8万PF以上へ引き上げる計画も打ち出した。

こうした動きは、中国全土で進む計算能力競争を映すものでもある。中国情報通信研究院(CAICT)によれば、2025年半ば時点の中国の総計算能力は約96万2000PFで、前年から73%増え、世界全体に占める比率は21%に達した。

深センの今回のプロジェクトは、国産チップ基盤のインフラを実運用の商用段階へ引き上げた点で象徴的だ。今後は、高い予約率が実際のAIサービスやロボティクス産業の成果に結び付くかに加え、Huaweiの次世代チップが性能とソフトウェアエコシステムの両面で世界との差をどこまで縮められるかが注目点となる。

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