写真=Reve AI、Strategyのマイケル・セイラー会長とビットコイン

Strategyが保有する76万2099BTCの価値評価を巡り、見方が分かれている。保有分の時価は約515億ドルに上るが、市場で一度に売却すれば流動性の制約から200億ドル程度しか回収できないとの指摘がある。一方で、同規模のBTCを市場で買い直すには500億ドルを大きく上回り、最大1000億ドルが必要になり得るとの反論も出ている。

3月31日(現地時間)、ブロックチェーンメディアのBeInCryptoは、StrategyのBTC保有額と実際の換金可能性を巡る議論を報じた。

争点は、帳簿上の評価額と実際に市場で売却できる価格の差だ。Taproot Wizards共同創業者のウディ・ベルトハイマー氏は、「マイケル・セイラー氏が売却を試みても、受け取れるのは200億ドルを超えない」と主張。今後BTCの買い増しに投じる資金についても、回収が難しくなる可能性があると指摘した。

Strategyの保有量は、BTCの総供給量約2100万BTCの約3.63%に相当する。流動性が中程度の取引所では、500BTC規模の成行売りでも価格が2〜4%下落し得るとされる。76万2099BTCが市場に放出されれば、過去の暗号資産市場の清算事例と比べても、はるかに大きな売り圧力になるとの見方だ。

これに対し、反対派は同じ流動性の論理を買い側にも当てはめる。Bitcoin Asset ResearchはX(旧Twitter)で、76万BTCを公開市場で取得しようとすれば500億ドルを大きく上回り、場合によっては1000億ドルが必要になると反論した。大量取得ではスリッページが避けられず、Strategyの保有分には再取得コストを踏まえたプレミアムがある、という立場だ。

企業価値の見方も一致していない。Strategyのエンタープライズバリューは570億ドルで、これを基準にしたmNAVは1.11とされた。未償還証券などを織り込むと、市場が同社のBTC保有分を現物価格以上に評価していることを示す。一方、基本mNAVは0.79で、普通株の時価総額400億ドルはBTC保有額を下回る水準にとどまっている。

株式の希薄化をどうみるかでも意見は分かれる。経済学者のアダム・リビングストン氏はstrategy.comのチャートを引用し、「保有BTC1枚当たりの希薄化後発行株式数」が2020年12月の1767から2026年3月には496へ低下したと紹介した。5年間で72%減となる。Strategyは、BTC純資産価値に対してプレミアムが乗る局面で株式を発行してきたため、mNAVが1.0を上回る局面では、新株発行が既存株主価値の希薄化ではなく、1株当たりのBTC持ち分の押し上げにつながり得るとの見方だ。

もっとも、StrategyのBTC総保有量は76万2099BTC、総取得原価は約576億9000万ドルとされる。平均取得単価は1BTC当たり7万5694ドル。BTC価格を6万7489ドル近辺とすると、含み損は約10%となる。

ベルトハイマー氏はその後の投稿で、自身がMSTRのロングポジションを持っており、STRCなど新たな優先株発行は短期的には効果を持ち得ると説明した。その一方で、買い増しの積み上がりに伴って拡大する「長期的な構造的出口問題」には懸念を示した。さらに、10万ドル超のBTC移転件数が6417件と、2023年9月以降で最低水準まで落ち込んだ点を挙げ、高額取引が減少する局面では大規模売却が市場の重荷になりかねないとの見方を示した。

最終的な焦点は、StrategyのBTC保有分を「いま市場で売却できる価格」でみるのか、それとも「同量を再取得するのに必要なコスト」まで含めた戦略資産として評価するのかにある。売却可能額と再取得コストの乖離が大きいだけに、今後の評価ではBTC相場に加え、市場流動性、資金調達の構造、追加希薄化の可能性も含めた検討が求められそうだ。

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