画像=Appleの50年を象徴する「削る革新」のイメージ

Appleはこの50年、新製品を投入するだけでなく、既存の機能や部品をあえて切り捨てることで技術転換を前倒ししてきた。米Engadgetは29日(現地時間)、AppleがPC、スマートフォン、ウェアラブルの各分野を主導する一方、フロッピーディスクからイヤフォンジャックに至るまで身近な要素を次々と廃し、業界全体の流れを変えてきたと報じた。

こうしたAppleの判断には一定の共通点がある。新たな方向性を打ち出した当初は不便さや反発を招くものの、時間の経過とともに競合各社も追随するという構図だ。Engadgetはこれを、技術の向かう先を先回りし、避けられない転換を前倒しした事例だと評している。

象徴的な例が、1998年発売のiMac G3だ。Appleは当時、PCで広く使われていたフロッピーディスクドライブを廃止し、USB中心の構成を採用した。インターネット接続を軸に据えた設計は当時としては大胆だったが、その後はUSBストレージやクラウド環境が普及し、市場の流れとも一致した。

自社の主力製品を新製品で置き換えていく戦略もAppleの特徴として挙げられる。音楽プレーヤー市場を席巻したiPodは、2007年にiPhoneが登場して以降、徐々に存在感を失った。AppleはiPhone投入後にタッチ操作対応のiPod touchも発売し、音楽視聴の中心がスマートフォンへ移る流れを加速。2014年にiPod classic、2017年にiPod nanoとiPod shuffle、2022年5月にはiPod touchの販売を終了した。

入力方式の転換でもAppleの影響は大きかった。物理キーボードが主流だった携帯電話市場で、iPhoneは静電容量方式のタッチスクリーンとソフトウェアキーボードを前面に押し出した。初期には使いにくさを指摘する声もあったが、画面サイズへの柔軟な対応、予測入力、多言語対応といったソフトウェアならではの拡張性が評価され、現在では業界標準となった。

ノートPCでは、薄型化の流れが次の「廃止」を促した。2008年のMacBook Airは、内蔵光学ドライブを省いた先駆的な製品とされる。当時は外付けドライブやネットワーク共有機能に頼る必要があったものの、クラウドとストリーミングの普及が進むにつれ、光学ディスクドライブは急速に存在感を失っていった。

Web分野でも同様の転換が起きた。AppleはiPhoneとiPadでAdobe Flashをサポートせず、スティーブ・ジョブズは公開書簡「Thoughts on Flash」で、セキュリティ上の問題やタッチ環境との相性の悪さを指摘した。これを機に、開発者の間ではHTML5などオープン標準への移行が進み、Flashは2020年に正式終了した。

最も大きな論争を呼んだ変更の一つが、2016年のiPhone 7における3.5mmイヤフォンジャックの廃止だ。Appleはこれを「勇気」ある決断だと説明し、ワイヤレス化を前面に打ち出した。同時期にはAirPodsも投入し、市場拡大を後押しした。変換アダプターが必要になるなど当初の不便さは大きかったが、その後ワイヤレスイヤフォンは急速に普及した。

同年登場したMacBook Proも、従来型ポートを大幅に削減してUSB-C中心の構成へ移行し、「ドングル地獄」との批判を招いた。ただ、この判断はUSB-C対応機器や周辺機器の拡大を加速させた。一方でAppleは後に一部ポートを再び搭載するなど、方針を調整する場面もあった。

Appleの歴史は、新たな機能を加える革新だけでなく、何を残し何を捨てるかを見極める連続でもあった。そうした判断は毎回のように議論を呼んだが、USB、タッチインターフェース、クラウド、ワイヤレスオーディオといった分野で業界全体の方向性に大きな影響を与えてきた。一方で、すべての決断が固定化されたわけではなく、一部では後に見直しも行われている。次にAppleが何を削り、それが新たな標準になるのかどうかは、引き続き業界の注目点となりそうだ。

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