写真=Nexonのパトリック・ソデルルンド執行会長。31日に東京で開いた「資本市場ブリーフィング(CMB)」で説明した(ゲーム記者団)

Nexonの執行会長に就任したパトリック・ソデルルンド氏は3月31日、東京で開いた「資本市場ブリーフィング(CMB)」で、2027年に掲げた売上高・営業利益目標の達成は難しいとの認識を示した。あわせて、事業ポートフォリオとコスト構造の見直しに直ちに着手し、投資配分や統制体制を再設計する方針を明らかにした。

同氏は、当初の目標設定について、主力フランチャイズの成長基調や新作パイプラインの拡大、規模拡大による収益性改善を前提にしていたと説明した。一方で、「Dungeon&Fighter Mobileは構造的な課題から期待に届かず、新作投入も遅れた」と述べた。ポートフォリオ拡大の過程で、コストが売上高を上回るペースで膨らみ、利益率を圧迫したとも指摘した。

就任から約1カ月で、残り18カ月で当初の数値目標を達成する確度は高くないとの判断を示した形だ。現時点で新たな数値目標は提示しなかった。

もっとも、足元の業績は堅調だ。Nexonは2025年、売上高4750億円、営業利益1240億円と過去最高を更新している。

構造改革の最優先課題として挙げたのは、肥大化した事業ポートフォリオの見直しだ。既存運営タイトルと新作について、現実的な前提に基づいて採算性を改めて精査し、投資を積み増す案件、立て直しを図る案件、中止する案件に選別する方針を示した。単なるコスト削減ではなく、収益貢献度をゼロベースで見直す考えで、ゲーム開発・運営に直接関係しない間接部門も点検対象に含める。

1月に「メイプル育て」で発生した、コード上の不具合を公表せず修正していた問題にも言及した。同氏は「不具合は経営陣に共有されず、ユーザーへの告知もないまま修正された」と説明。返金対応に伴うコストも大きかったが、それ以上に深刻だったのは信頼の毀損だとした。再発防止策として、最高リスク責任者(CRO)の新設、二重報告体制の義務化、取締役会による監督強化を導入したという。

今回の改革の方向性について同氏は、「賭ける案件を絞り込み、1件ごとの確度を高める」と要約した。Nexonが目指すのは、レアル・マドリードやドジャースのようなプロスポーツチームに近いモデルで、単発のヒットに頼るのではなく、長期にわたり支持される複数のフランチャイズを持つ姿だと説明した。

同氏は、「何十年にもわたり『私はDungeon&Fighterを遊ぶ』『私はメイプルストーリーを遊ぶ』と言うユーザーがいる」と述べたうえで、こうしたコミュニティを副次的な効果ではなく製品そのものの一部として捉えるべきだと強調した。2〜3本ではなく、4〜5本のフランチャイズへ広げることを目標に掲げた。

投資やM&Aの判断基準についても、「誰かの人生を通じた情熱の対象になり得るか」という1つの問いに集約されると付け加えた。

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